(2009年12月4日掲載)
第25回櫻井健二郎氏記念賞受賞者
(左から) 潟岡 泉 氏 (日本航空電子工業株式会社) 鈴木正敏 氏(株式会社KDDI研究所) 田中英明 氏(株式会社KDDI研究所) 長濱慎一 氏(日亜化学工業株式会社) 小崎徳也 氏(日亜化学工業株式会社) 柳本友弥 氏(日亜化学工業株式会社) 第25回(2009年度)櫻井健二郎氏記念賞は、受賞題目「緑色域から紫外域のGaN系半導体レーザ室温連続発振」に対し、日亜化学工業株式会社 開発本部 窒化物半導体研究所の長濱 慎一氏、小崎 徳也氏、柳本 友弥氏に、また、受賞題目「高信頼度大洋横断光海底ケーブルシステムの実用化」に対し、株式会社KDDI研究所の田中 英明氏、鈴木 正敏氏、独立行政法人情報通信研究機構の松島 裕一氏、日本航空電子工業株式会社の潟岡 泉氏に授与された。 櫻井健二郎氏記念賞は、当協会の理事であった故櫻井健二郎氏が光産業の振興に果たした功績を讃えると共に、光産業および技術の振興と啓発を図ることを目的として創設したもので、過去24回で19名の個人、27グループ、延べ107名が受賞している。 今年度の櫻井賞は、光産業および光技術の分野において先駆的役割を果たした1999年以降の業績を対象に、応募21件の中から厳正に選考された。 受賞の栄に輝いた日亜化学工業株式会社 開発本部 窒化物半導体研究所の長濱 慎一氏らの受賞理由は、「受賞者はワイドギャップGaN系レーザの可能性を高めるべく開発した低転位密度・自立基板結晶の作成および高品質多重量子井戸構造成長の独自技術を突破口に、緑色域から紫外域の広い波長範囲にわたる(波長365 nm−515 nm)半導体レーザを実現した。特に連続発振緑色半導体レーザの実現、青色半導体レーザの量産化、産業用高出力レーザモジュール(10 W)などの製品化に貢献した。波長範囲の拡大、高出力化、高信頼化により適用範囲はディスプレイ用、光記録用、医療・バイオ応用などへの一層の展開が期待され、今後の光産業発展に貢献するところが大きい。」ことによる。 また、株式会社KDDI研究所の田中 英明氏らの受賞理由は、「受賞者は、高速光通信システムに必須の低チャープ・高消光比の優れた特性を有するフランツケルディシュ型電気吸収変調器などを開発し、これらを極めて高い信頼性が要求される大容量大洋横断光海底ケーブルシステムへ適用することを検討し、埋め込み構造等の採用、光変調器の動作条件の明確化などに加えて9000 kmの大規模室内試験と9年間の実用サービスを経て、実フィールドで故障率13.8(FIT)以下という極めて高い信頼性を実証した。これらの成果は、高信頼度の光変調器の開発にとどまらず、大容量国際通信ネットワークの構築に貢献するところが大きい。」ことによる。 以上の7氏に対する表彰は、2009年12月2日に開催された第29回光産業技術シンポジウムの終了後に行われた。 櫻井健二郎氏記念賞委員会委員長、内田禎二氏(東海大学 総合科学技術研究所 教授)による選考経過報告の後、賞状、メダル、副賞が各受賞者に手渡され、引き続き受賞者を代表して長濱氏、田中氏より謝辞が述べられ、表彰式を終了した。 |