第24回櫻井健二郎氏記念賞
(2008年12月4日掲載)




第24回櫻井健二郎氏記念賞受賞者
    「第24回櫻井健二郎氏記念賞受賞者」
    (左から)
    宇都宮 肇 氏 (TDK株式会社)
    林田直樹 氏 (同上)
    田中和志 氏 (同上)
    伊藤秀毅 氏 (同上)
    平等拓範 氏 (自然科学研究機構 分子科学研究所)
■第24回櫻井賞は宇都宮氏らのグループと平等氏に■

 第24回(2008年度)櫻井健二郎氏記念賞は、受賞題目「Blu-ray Disc用高性能ハードコート技術の開発および実用化」に対し、TDK株式会社 SQ研究所の宇都宮 肇氏、林田 直樹氏、田中 和志氏、同、デバイス開発センターの伊藤 秀毅氏に、また、受賞題目「マイクロ固体フォトニクスの先駆的研究」に対し、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 分子科学研究所の平等 拓範氏に授与された。
 櫻井健二郎氏記念賞は、当協会の理事であった故櫻井健二郎氏が光産業の振興に果たした功績を讃えると共に、光産業および技術の振興と啓発を図ることを目的として創設したもので、過去23回で18名の個人、26グループ、延べ102名が受賞している。
 今年度の櫻井賞は、光産業および光技術の分野において先駆的役割を果たした1998年以降の業績を対象に、応募22件の中から厳正に選考された。
 受賞の栄に輝いたTDK株式会社 SQ研究所の宇都宮 肇氏他の受賞理由は、「新世代の光ディスクの規格は2008年早々にBlu-ray Disc(BD)に決着した。BD用光ディスクは25GBの大容量を実現するため1.1mm厚のポリカーボネート基板表面上に、0.1 mm厚の薄い保護層とその直下の極薄記録層が設けられている。それ故、保護層の薄い光ディスクは、指紋付着や表面傷に弱いという難問を抱えていた。そこで、シリカ微粒子を含む高性能ハードコート技術を開発し、光ディスク表面に傷や指紋(汚れ)に対して、高硬度かつ防汚特性に優れた保護層を設けることに成功した。この堅く丈夫で従来レベルを凌駕する指紋耐性並びに擦過傷耐性を持つ保護層形成技術の実現により、保護ジャケット不要の経済性に優れた大容量のBD用光ディスクが実用化された。」ことによる。
 また、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 分子科学研究所の平等 拓範氏の受賞理由は、「固体レーザーの実用化に不可欠な小型化、高性能化を図るため、レーザー媒質のマイクロドメイン構造制御や、界面制御により新たに発現される光学機能を探求し、「マイクロ固体フォトニクス分野」を創出、先導してきた。特に、高性能化・高出力化を実現するイッテルビウム・セラミックスに代表されるマイクロチップレーザーの世界に先駆けた提案および実現と、バルク擬似位相整合素子による高出力非線形光学波長変換を実現し、同分野の基盤構築と展開に大きく寄与した。これらの成果は、産業基盤を支える基本的計測や加工装置に不可欠な、紫外から赤外に至るマイクロコヒーレント光源の実用に供されるなど、多大な貢献をしている。」ことによる。
 以上の5氏に対する表彰は、2008年12月3日に開催された第28回光産業技術シンポジウムの終了後に行われた。櫻井健二郎氏記念賞委員会 内田禎二委員長(東海大学 総合科学技術研究所 教授)から選考経過報告の後、賞状、メダル、副賞が各受賞者に手渡され、引き続き受賞者を代表して宇都宮氏、平等氏より謝辞が述べられて表彰式を終了した。


櫻井賞受賞者リスト(HTML)(PDF)

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