第30回櫻井健二郎氏記念賞
(2014年2月5日掲載)




「第30回櫻井健二郎氏記念賞受賞者」
(左から櫛屋勝巳氏, 河田聡氏

■第30回櫻井健二郎氏記念賞受賞者および受賞題目■

 第30 回(2014 年度)櫻井健二郎氏記念賞は、受賞題目「プラズモン効 果による超解像度顕微鏡に関する先導的な研究」に対し、大阪大学・理 化学研究所・ナノフォトン株式会社の河田 聡氏に、また受賞題目「CIS 薄膜技術による第2 世代薄膜太陽電池の実用化」に対し、昭和シェル株 式会社・ソーラーフロンティア株式会社の櫛屋 勝巳氏に授与されること が決定した。

 櫻井健二郎氏記念賞は、当協会の理事であった故櫻井健二郎氏が光産 業の振興に果たした功績を讃えると共に、光産業および技術の振興と啓 発を図ることを目的として創設したもので、過去29 回で21 名の個人、 34 グループ、延べ132 名が受賞している。

 今年度の櫻井賞は、光産業および光技術の分野において先駆的役割を 果たした2004 年以降の業績を対象に、応募14 件の中から厳正に選考さ れた。



第30回(平成26(2014)年度)
受賞者所  属
河田 聡大阪大学 大学院工学研究科 教授
理化学研究所 チームリーダー
ナノフォトン株式会社 会長
受賞題名と受賞理由

「プラズモン効果による超解像度顕微鏡に関する先導的な研究」

 受賞者は、金属ナノ構造とフォトンとの相互作用に関わる多くの新しい概念を提唱・実証し、プラズモニクスの領域拡大と技術開発の展開を先導した。特にナノサイズの先端径を有する金属探針を用いることにより、プラズモン効果に基づくラマン散乱光の超解像度顕微システムを世界に先駆けて開発した。計測対象も、分子からナノ半導体材料、ナノバイオ材料など広く展開させており、異分野や産業へ貢献するところが大きい。
 これらの優れた研究業績に加え、自ら設立したベンチャー企業で最先端の研究者向けにラマン顕微鏡を10年以上にわたり製造販売しており、光産業技術分野においても革新をもたらしている。
受賞者所  属
櫛屋 勝巳昭和シェル石油株式会社
 エネルギーソリューション 事業本部担当副部長
ソーラーフロンティア株式会社 執行役員
受賞題名と受賞理由

「CIS薄膜技術による第2 世代薄膜太陽電池の実用化」

 受賞者は、薄膜太陽電池第1世代が実現できなかった変換効率を、CIS(CuInSe2 カルコパイライト系)薄膜太陽電池において環境負荷低減に有効なCdフリー・鉛フリーの形で実現するとともに、事業化も達成した。単結晶Si太陽電池技術の性能にも匹敵し得るCIS薄膜太陽電池は、世界最大規模の1ギガワットラインにてフル操業で生産されており、ソーラー住宅から太陽光発電所まで、「メイド・イン・ジャパン」の薄膜太陽電池事業として進展している。
 受賞者らが主導したCIS薄膜太陽電池技術の開発は、エネルギー安全保障、地球環境問題解決のみならず、光電変換技術を主体とする光産業の今後の発展に貢献するところが大きいと認める。
OITDA