第27回櫻井健二郎氏記念賞
(2012年2月2日掲載)




第27回櫻井健二郎氏記念賞受賞者
    「第27回櫻井健二郎氏記念賞受賞者」
    (左から)福味幸平 氏, 西井準治 氏, 伊藤弘昌 氏, 菊田久雄 氏, 田中康弘 氏
■第27回櫻井賞は伊藤氏及び西井 氏らのグループに■

 第27 回(2011 年度)櫻井健二郎氏記念賞は、受賞題目「非線形光学、 テラヘルツ光学の先導的研究」に対し、理化学研究所・東北大学の伊藤 弘昌氏に、また、受賞題目「ガラスナノインプリント法によるサブ波長 構造デバイスの開発」に対し、北海道大学の西井 準治氏、大阪府立大 学の菊田 久雄氏、独立行政法人産業技術総合研究所の福味 幸平氏、 パナソニック株式会社の田中 康弘氏に授与されることが決定した。
櫻井健二郎氏記念賞は、当協会の理事であった故櫻井健二郎氏が光産 業の振興に果たした功績を讃えると共に、光産業および技術の振興と啓 発を図ることを目的として創設したもので、過去26 回で20 名の個人、 30 グループ、延べ119 名が受賞している。
今年度の櫻井賞は、光産業および光技術の分野において先駆的役割を 果たした2001 年以降の業績を対象に、応募14 件の中から厳正に選考さ れた。


第27回(2011年度、平成23年度)
受賞者所  属受賞題名と受賞理由
伊藤 弘昌理化学研究所
客員主幹研究員、
東北大学
名誉教授
「非線形光学、テラヘルツ光学の先導的研究」
 我が国の光産業技術の基礎をなす光・量子エレクトロニクスの勃興期 から継続して独創的な研究業績を積み重ねた。わけても、非線形光学の 効率を飛躍的に向上せしめる周期分極反転格子技術をいちはやく実現し、 波長変換デバイス研究開発の興隆を導いたことは特筆すべきである。さ らに、無機および有機非線形光学結晶を用いた差周波発生により 0.5-100THzの広い領域でのテラヘルツ光発生に成功し、テラヘルツ光学 とも呼ぶべき領域の基礎および応用研究・開発に指導的な役割を果たし た。以上のように受賞者はつねに新規な着想とその実現に注力し、非線 形光学、テラヘルツ光学を先導してきた。この業績と今も変わらぬ指導 力は本賞を受賞するに値するものである。
受賞者所  属受賞題名と受賞理由
(グループ)
西井 準治

北海道大学
電子科学研究所
電子機能素子研究部門
教授

「ガラスナノインプリント法によるサブ波長構造デバイスの開発」
 受賞者らは、信頼性の高いガラス材料と量産性・汎用性に優れたナノ インプリント技術に着目し、サブ波長構造光学機能素子実現のために共 同して開発を進めた。すなわち、優れた成形性と光学特性を有する新規 ガラス開発、厳密結合波理論による設計、耐熱ナノモールドの作製を含 めたインプリントプロセスの改良、に取り組み、耐熱性・耐候性に優れ たサブ波長構造反射防止モールドレンズの作製に先鞭をつけた。ガラス ナノインプリント技術は、カメラレンズの反射防止構造、偏光子、波長 板などの光学機能素子に加えてディスプレイ、太陽電池、医療用センサ ー分野などへの一層の展開が期待され、今後の光産業発展に貢献すると ころが大きい。
菊田 久雄大阪府立大学
工学研究科 機械工学分野
教授
福味 幸平独立行政法人産業技術総合研究所
ユビキタスエネルギー研究部門
主任研究員
田中 康弘パナソニック株式会社
AVCデバイス開発センター
主幹技師

OITDA