第26回櫻井健二郎氏記念賞
(2010年12月8日掲載)




第26回櫻井健二郎氏記念賞受賞者
    「第26回櫻井健二郎氏記念賞受賞者」
    (前列左から)
    菊池和朗 氏 (東京大学)
    荒谷勝久 氏 (ソニー株式会社)
    (後列左から)
    峰岸慎治 氏 (ソニーイーエムシーエス株式会社)
    河内山 彰 氏 (ソニー株式会社)
    甲斐慎一 氏 (ソニー株式会社)
■第26回櫻井賞は菊池氏及び荒谷氏らのグループに■

 第26回(2010年度)櫻井健二郎氏記念賞は、受賞題目「デジタルコヒーレント光ファイバ通信の研究」に対し、東京大学大学院工学系研究科の菊池 和朗氏に、また、受賞題目「ブルーレイディスク用 PTM原盤作製技術の開発とその実用化」に対し、ソニー株式会社の荒谷 勝久氏、河内山 彰氏、甲斐 慎一氏、ソニーイーエムシーエス株式会社の峰岸 慎治氏に授与された。
 櫻井健二郎氏記念賞は、当協会の理事であった故櫻井健二郎氏が光産業の振興に果たした功績を讃えると共に、光産業および技術の振興と啓発を図ることを目的として創設したもので、過去25回で19名の個人、29グループ、延べ114名が受賞している。
 今年度の櫻井賞は、光産業および光技術の分野において先駆的役割を果たした2000年以降の業績を対象に、応募17件の中から厳正に選考された。  受賞の栄に輝いた東京大学大学院工学系研究科の菊池 和朗氏の受賞理由は、「光ファイバ通信の伝送能力を飛躍的に高めるには光の位相・振幅を活用するコヒーレント通信が好適である。受賞者は長年コヒーレント光通信方式の研究を推進し、さらに2005年にコヒーレント伝送方式とデジタル信号処理を組み合わせた「デジタルコヒーレント通信方式」を世界に先駆けて提案した。従来は光伝送路の分散特性とは逆の分散特性を有する短尺光ファイバなどを用いる分散補償方式が用いられたが、受賞者は受信信号の直交2成分を独立に受信した後にデジタル信号処理を行って分散補償するデジタルコヒーレント通信方式を今後の超高速光通信の本命として提案・実証した。現在、世界中で本方式実現のための超高速デジタル処理デバイスなどに関する激烈な開発競争が始まっているが、その先駆者として光産業発展に貢献するところが大きい。」ことによる。
 また、ソニー株式会社の荒谷 勝久氏らの受賞理由は、「受賞者らは、それまで電子線描画装置が必須とされていたブルーレイディスク原盤描画工程の代わりに、新しく開発したヒートモード無機レジスト材料と青色レーザを組み合わせてPhase Transition Mastering (PTM)技術という生産性に優れた原盤作製技術を実現した。電子線描画装置を必要としない本方式による原盤作製システムの実用化によりブル−レイディスクの量産が進展し、ブルーレイディスクが急速に世界に普及した。昨年度、全世界で製造された4億枚の同ディスクのうち、その大半が本方式によるものである。なお、このPTM技術は微細加工技術としての展開もあり、今後の光産業発展に貢献するところが大きい。」ことによる。
 以上の5氏に対する表彰は、2010年12月7日に開催された当協会の「創立30周年記念式典」にて行われた。
 櫻井健二郎氏記念賞委員会委員長、内田禎二氏(財団法人応用光学研究所 技師長)による選考経過報告、および当協会会長 間塚道義による各受賞者への賞状、メダル、副賞の贈呈に引き続き、菊池氏、荒谷氏(代表)による受賞者挨拶・謝辞が述べられ、表彰式を終了した。


第26回(2010年度、平成22年度)
受賞者所  属受賞題名と受賞理由
菊池 和朗東京大学
大学院工学系研究科
電気系工学専攻
教授
「デジタルコヒーレント光ファイバ通信の研究」
 光ファイバ通信の伝送能力を飛躍的に高めるには光の位相・振幅を活用するコヒーレント通信が好適である。受賞者は長年コヒーレント光通信方式の研究を推進し、さらに2005年にコヒーレント伝送方式とデジタル信号処理を組み合わせた「デジタルコヒーレント通信方式」を世界に先駆けて提案した。従来は光伝送路の分散特性とは逆の分散特性を有する短尺光ファイバなどを用いる分散補償方式が用いられたが、受賞者は受信信号の直交2成分を独立に受信した後にデジタル信号処理を行って分散補償するデジタルコヒーレント通信方式を今後の超高速光通信の本命として提案・実証した。現在、世界中で本方式実現のための超高速デジタル処理デバイスなどに関する激烈な開発競争が始まっているが、その先駆者として光産業発展に貢献するところが大きい。
受賞者所  属受賞題名と受賞理由
(グループ)
荒谷 勝久

ソニー株式会社
コアデバイス開発本部
課長

「ブルーレイディスク用 PTM原盤作製技術の開発とその実用化」
 受賞者らは、それまで電子線描画装置が必須とされていたブルーレイディスク原盤描画工程の代わりに、新しく開発したヒートモード無機レジスト材料と青色レーザを組み合わせてPhase Transition Mastering (PTM)技術という生産性に優れた原盤作製技術を実現した。
 電子線描画装置を必要としない本方式による原盤作製システムの実用化によりブル−レイディスクの量産が進展し、ブルーレイディスクが急速に世界に普及した。昨年度、全世界で製造された4億枚の同ディスクのうち、その大半が本方式によるものである。なお、このPTM技術は微細加工技術としての展開もあり、今後の光産業発展に貢献するところが大きい。
河内山 彰ソニー株式会社
コアデバイス開発本部
課長
甲斐 慎一ソニー株式会社
コアデバイス開発本部
課長
峰岸 慎治ソニーイーエムシーエス
株式会社
コア技術部門
課長

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