(2016年 3月28日掲載)
 オプトニューズ Vol.10, No.6 (2015)
 

◆【1】協会事業
■平成27年度 光産業技術シンポジウム
 本年度は、テーマを「光加工・計測が創る新たな社会と産業イノベーション」とし、 OITDAとPETRAが共催で開催された。太陽系外惑星直接検出のための技術開発、3Dプリ ンターとその最新動向、超小型パワーレーザーの開発と産業への応用、光加工・計測 技術ロー ドマップ、光電子集積技術に関する開発動向および技術ロードマップ2015、 および超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発について、各分野の 第一人者やエキスパートにご紹介いただき、活発な議論があった。昨年同様230名を 超える参加者の下、終始盛会となった。
■第31回櫻井健二郎氏記念賞表彰
 第31回(2015年度)櫻井健二郎氏記念賞は、受賞題目「レーザプリンタ用面発光レーザアレイの開発および実用化」に対し、株式会社リコーの佐藤俊一氏他三名に、また、受賞題目「海底ケーブル用極低損失光ファイバの開発と実用化」に対し、住友電気工業株式会社の平野正晃氏他三名に授与された。
■第5回 電子光技術シンポジウム
 産総研との共催で第5回電子光技術シンポジウムが2/19に開催された。 当日は産業界並びに関係研究機関等から,昨年度を大きく上回る172名の 参加があり,この分野に対する関心の高さを感じさせた。
 今年度は「電子・光デバイスの未来技術−革新的材料技術が拓くイノベーション−」 をテーマとして,5件の招待講演を含む10件の口頭発表が行われた。
 当該分野に関心を寄せる多くの参加者との有意義な議論が展開され,大盛況のうちに シンポジウムは閉幕した。
■平成27年度特許フォーラムを開催
 特許動向調査委員会主催の「特許フォーラム」を3月11日に開催した。
 本年度委員会報告では、例年実施している主要3産業分野別の特許動向調査報告に加 え、 トピックスとしてレーザ加工分野の調査報告を実施した。特別講演は内田・鮫 島法律事務所の鮫島正洋弁護士をお迎えし、「知財戦略のススメ−知財マネジメントの あるべき姿を探る−」と題し、事業競争力向上のための実践的な知財戦略シナリオに ついてご講演いただいた。
■2015(平成27)年度 光産業全出荷額・国内生産額 調査結果
 2014年度の光産業に関しては、 全出荷額は18兆1,192億円、成長率 4.0% 、国内生産額は8兆7,425億円、成長率 3.9% であった。太陽光発電分野は、前年度までは全出荷・国内生産ともに大幅に増加したが、Feed in Tariff (FIT)の制度変更により急ブレーキが掛かった。スマートフォン・タブレット端末市場の拡大に伴うディスプレイ素子及び省エネ意識の向上によるLED照明器具の増加により、ディスプレイ・固体照明分野の全出荷・国内生産もやや増加した。自動車を中心とする設備投資の増加を反映して、レーザ・光加工分野が全出荷・国内生産ともに大幅に増加し、セキュリティ機器や車載カメラなどが好調なセンシング・計測分野もやや増加した。入出力分野では、MFPと光学式プリンタ及びイメージセンサが好調で、デジタルカメラの減少を補い、全出荷でほぼ横ばい、国内生産でやや増加となった。一方、前年度までの幹線・メトロ系の光伝送機器増加の反動で、情報通信分野の全出荷・国内生産が大きく減少した。また、情報記録分野は、前年度の増産の影響を受けて国内生産は減少し、全出荷も継続的な価格下落と需要の減少の影響によりやや減少となった。
 2015年度の光産業に関しては、全出荷額は17兆4,377億円、成長率 ▲3.8%、 国内生産額は、8兆4,177億円、成長率▲3.7%を見込んでいる。ディスプレイ・固体照明分野は、スマートフォン・タブレット端末市場の拡大に伴うディスプレイ素子及び省エネ意識の向上によるLED照明器具の増加により、全出荷及び国内生産とも増加が見込まれている。自動車を中心とする設備投資の増加に伴い、レーザ・光加工分野が、またセキュリティ機器や車載カメラなどが好調でセンシング・計測分野が全出荷・国内生産ともに順調に増加すると見込まれている。情報通信分野では、幹線系・メトロ系及び加入者系の光伝送機器が大きく減少するものの、発光・受光素子などの光伝送用部品が大幅に伸びて、全出荷及び国内生産ともやや増加が見込まれる。また、入出力分野については、全体として、全出荷及び国内生産とも横ばいを見込んでいる。一方、太陽光発電分野は、前年度までの大きな増加の反動と買取価格の下落により、全出荷及び国内生産ともに大きく減少する見込みである。情報記録分野は、市場縮小の影響を受け、全出荷及び国内生産で大幅な減少を見込んでいる。
 2016年度の光産業は、全出荷額・国内生産額ともに横ばいと予測されている。
◆【2】テクノロジートレンド
■テラヘルツ技術の最新動向
国立研究開発法人理化学研究所 大谷知行
 本稿では、近年進展がめざましいテラヘルツ電磁波について、光源・分光・イメージングなどのセンシング技術、超高速無線通信に係る技術、及び、高強度テラヘルツ電磁場を用いた物質創成の可能性の研究開発の動向を概説するとともに、産業応用や製品開発の動向についても述べる。
■シリコンフォトニクスを用いたチップスケール光トランシーバ「光I/Oコア」
技術研究組合光電子融合基盤技術研究所 中村隆宏
 5mm角の小型チップサイズで300Gbpsの大容量と、送受で5mW/Gbpsの低消費電力 を実現可能な光トランシーバである光I/Oコアの特徴を述べる。また、開発した 光I/Oコアのアプリケーションの1つとして、大容量LSIの1つであるFPGA間の光 伝送適用について述べる。
■網膜投影技術とその応用
大阪市立大学 橋秀也
 ヘッドマウントディスプレイの構成方式の一つである網膜投影技術に関して基本原理の説明をし、網膜投影技術の特長を活かした有力な応用分野であり、実現が望まれているロービジョン(低視力者)補助具に関して紹介する。
■固定価格買取制度による太陽光発電市場へのインパクトと今後の方向性
株式会社 資源総合システム 貝塚 泉
 我が国においては、平成24年(2012年)7月から固定価格買取制度が開始され、日本の太陽光発電市場の成長に大きく貢献している。本稿ではこれまでの固定価格買取制度による太陽光発電の導入状況及びその市場への影響について概括し、今後の方向性について述べる。
◆【3】リサーチ&アナリシス
■Blu-rayによるコールドストレージ
株式会社アステック 今中 良一、中島 英明
公益社団法人日本文書情報マネジメント協会 渡邊 克也
 近年のデータ量の爆発的増大により、システムの性能の確保と同時に、 低CO2社会実現のための電力削減も要求されている。この課題を解決する一手段として、 オブジェクトストレージ技術とアーカイブ用Blu-rayを融合させることで、 光ディスクを使ったコールドストレージを実現した。
■AM(3Dプリンタ)技術とその最新動向
株式会社アスペクト 早野誠治
 最近3Dプリンターとして注目を浴びるAM(付加製造)技術の種類や方式について解説する。 また、米国・欧州・日本でのAM技術を取り巻く環境や市場データを紹介する。特に、AM 技術の最新動向として注目されるパーソナル3Dプリンターや金属AM技術など世界での 動向と潮流を解説する。
◆【4】開催案内
■マンスリーセミナー(4/19、5/17)
 4月は名古屋大学 未来社会創造機構 モビリティ部門 特任教授 二宮芳樹氏による 「自動運転技術の最新動向」、5月は東北大学大学院 医工学研究科 医工学専攻 ナノデバイス医工学分野 教授 芳賀洋一氏による「光技術を用いた低侵襲医療機器、ヘルスケア機器の開発」を予定している。
■研究会 開催案内
 第1回フォトニックデバイス・応用技術研究会(5/25)
 第1回光ネットワーク産業・技術研究会(5/26)
 第1回光材料・応用技術研究会(6/24)
 第1回多元技術融合光プロセス研究会(7/7)
◆【5】協賛案内
■協賛案内
 当協会で協賛・後援している事業・行事を掲載。
◆【6】お知らせ
■InterOpto 2016 出展募集
 当協会主催の"InterOpto2016"(国内外のレーザ、フォトニクス、光デバイス 製品が一堂に集まる光産業の国際技術展示会)の出展募集、早期申込割引実施中。
■InterOpto 2016 中小・中堅・ベンチャー企業出展社支援のお知らせ
 中小・中堅・ベンチャー企業の事業PR 活動のチャンスを広げることのできる 展示会として、パシフィコ横浜で開催するインターオプト2016 の展示会場にお いて、出展を支援する事業として出展企業を募集いたします。出展小間料を 当協会より支援いたします。
■研究会 会員募集
 光技術各分野の最新情報の交換、各分野での研究開発の促進及び産学官連携 強化を図る場として4つの研究会を設けて、講演・見学会、説明会も開催して います。それぞれの光技術テーマに関心をお持ちの方のご参加をお待ちして います。
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