光産業技術マンスリーセミナー

*** 2022プログラム紹介 ***

No.
開催日
講演テーマ / 講師
No.467

4/26
(火)

「1波長あたり秒速1テラビットを超える光通信の実現に向けた信号処理技術」

富士通 フォトニクス事業本部 先行技術開発室
 小金井 洋平 氏
(内容)
   近い将来、デジタルコヒーレント技術を用いた光通信では1波長あたり1Tbpsを超える伝送速度が実用化を迎える時代となりつつある。送受信する信号の処理速度が向上するのに伴い、実装的な構造の複雑化や消費電力の増大を抑制することが課題となってくるが、本講演ではそのような課題を克服するために用いられる信号処理技術について着目し、関連する研究開発の動向を紹介する。まず、デジタル領域における信号処理として誤り訂正符号などを含めた符号化技術の進歩について解説する。また、デジタルとアナログの境界領域、及び光領域における信号処理を応用した技術に関する最新の研究成果についても紹介する。
No.468

5/17
(火)

「IOWN時代を担う光半導体デバイス技術の最新動向」

古河電気工業株式会社 情報通信ソリューション統括部門
 主幹吉田 順自 氏
(内容)
   ネットワークから端末まであらゆる情報処理基盤に光技術を取り込んだIOWN構想ではエネルギー効率が高く情報の伝送処理速度の速い光技術が要求される。本セミナーでは、光電融合・IOWN時代を担う光半導体デバイスの技術動向に関する報告を行う。特に、デジタルコヒーレント通信を支えている光ファイバ増幅器用励起光源、および波長可変レーザの進展、光トランシーバーの小型化に必要となる光集積デバイス、データセンターに用いられるネットワーク機器での最重要課題である高速化、低消費電力を解決するための光電融合に向けた取り組みにといった4つのトピックスに関する報告を行う。
No.469

6/21
(火)

「シリコンフォトニクスによる光トランシーバの集積化・高密度化の進展と課題」

アイオーコア株式会社
 光技術統括部長中村 隆宏 氏
(内容)
   ICTを支えるデータセンタでは、年々、IPトラフィックが増大し、サーバ間の通信量が増大している。このため、サーバ間を通信する光トランシーバの容量も年々増大し、2025年頃には1Tbps近くが必要になる。これらの次世代大容量トランシーバに向けたシリコンフォトニクスによる光トランシーバの集積化・高密度化の進展と課題に関してPETRAの「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」の成果も含めて紹介する。
No.470

7/19
(火)

「サイバー・フィジカル社会におけるディスプレイ技術」

東京農工大学 大学院工学研究院
 教授高木 康博 氏
(内容)
   今後のサイバー空間とフィジカル空間の融合において、ディスプレイが果たす役割は今まで以上に重要になると考える。ただし、以前のようにハードウェアの性能向上を目標としたものではなく、人間との融合を強く意識したディスプレイの研究開発が必要になる。人間と融合するディスプレイ技術として、本セミナーでは、目の中に入れて用いるホログラムコンタクトレンズ 、人の表情表示に適したライトフィールドディスプレイ、視覚疲労を低減する超多眼ヘッドマウントディスプレイ、究極の立体表示技術であるホログラフィーについて取り上げて議論する。
No.471

8/16
(火)

光ディスク技術を用いたフローサイトメーターシステム

ソニー株式会社 メディカルビジネスグループ
 統括部長古木 基裕 氏
(内容)
   近年の目覚ましいライフサイエンス進歩により、不均一な細胞集団から、個々の細胞情報を、抗体多色標識にて高速かつ定量的に解析することが求められています。さらに高精度な細胞分取・分離の実現が、遺伝子・細胞治療領域で期待されています。フローサイトメーターは唯一この要求を満たすことができる原理を備えていますが、複雑で使いにくく、再現性が乏しいという課題を抱えていました。今回、ソニーのフローサイトメーターは、光ディスクで培った優れた技術を利用することで、これらの課題を解決し、さらに性能を飛躍的に向上させられることが可能となったので、それらの技術と効果をご紹介致します。
No.472

9/27
(火)

「シリコンフォトニクスとLiDARの最新動向」

横浜国立大学 大学院工学研究院 知的構造の創生部門
 教授馬場 俊彦 氏
(内容)
   シリコンフォトニクスは半導体インフラを利用して高度で大規模な光集積を実現にする。この10年間で世界的に普及し、通信、センサをはじめ様々な分野への応用が検討されているほか、物理研究のツールとしても利用されている。本講演はこの状況を概説した後、自動運転等の用途で開発が加速している光レーダ(LiDAR)にフォーカスする。まず、LiDARの各種の方式と応用、世界の開発状況などを紹介する。さらに機械部品を使わないシリコンフォトニクスFMCW方式LiDARに注目し、代表的な機構である光フェーズドアレイ、フォーカルプレーンアレイ、スローライト回折格子の構成、利点と欠点などを比較する。そして、特にスローライト回折格子を用いたFMCW LiDARの現状について、詳しく説明する。
No.473

10/25
(火)

IOWN実現に向けたIII-V/Si光集積デバイスの研究開発

日本電信電話株式会社 先端集積デバイス研究所 機能材料研究部
 上席特別研究員松尾 慎治 氏
(内容)
   NTTは、「IOWN」(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)という新しいネットワーク構想を発表し研究開発を進めている。この構想を実現するためには光デバイスの高性能化・低消費電力化・低コスト化が重要であり,これらの課題の解決に向けてシリコンフォトニクスデバイスとInP系化合物半導体デバイスが高密度に集積した光集積回路の開発を行っている。NTTで開発しているメンブレン光デバイスは構造がシリコンフォトニクスデバイスと類似しているため集積化が容易,また,Si基板上でのInP系半導体の再成長が可能という特長から高密度なヘテロ集積光回路を作製するのに適している。講演ではこれまでに得られた成果を中心に紹介するとともに今後の研究開発の方向性について述べる。
No.474

11/15
(火)

「量子雑音マスキングによる暗号化光ファイバ通信システム」

玉川大学 量子情報科学研究所
 教授谷澤 健 氏
(内容)
   Society5.0を支える基盤として、光ファイバ通信は大きな役割を担っている。光通信システムは大容量・長距離化に向けて技術革新が進んでいる一方、高いセキュリティーの実現はシステムに新たな価値をもたらす。本セミナーでは、光ファイバからの盗聴を防ぐために光信号レベルで暗号化を行う、Y-00光通信量子暗号の研究を紹介する。この暗号では、共通鍵を用いて多値信号変調を行うことにより、量子(ショット)雑音の影響で盗聴者が誤りなく受信できない状況を作り出す。光ファイバ通信の高い通信性能(大容量・長距離)を損なうことなく、高い安全性を実現できる特徴がある。講演では、研究背景を紹介した後に、この暗号化方式の原理と特徴を説明する。そして、我々のグループを中心として、近年の研究成果を紹介する。
No.475

12/20
(火)

「深紫外光を用いた新型コロナウイルスの不活化」

徳島大学 ポストLEDフォトニクス研究所 医光融合研究部門
 准教授南川 丈夫 氏
(内容)
   2019年に勃興した新型コロナウイルス感染症は、2022年にようやくアフターコロナ社会への変遷の兆しを見せているものの、依然として感染者は多く、生命への影響、社会への影響は多大な状況にある。また、同様な社会的制限を伴う新たな感染症が将来的に勃興することも懸念されており、様々な感染症に対する多重的かつ多角的に対応策を確立し、現在および将来に備えることは重要な課題である。本講演では、感染症に対する一つの有効な対策案である深紫外光を用いた感染症対策について、深紫外光を用いた感染症対策の原理、利点、および実際の不活化効果について紹介する。
No.476

1/10
(火)

車載ステレオカメラの広視野化技術

株式会社 日立製作所 研究開発グループ
 計測イノベーションセンタ アンビエントインターフェース研究部
 主任研究員山ア 和良 氏
(内容)
   国内では交通事故による死亡者数が年々減少しているものの、依然として多くの人が毎年交通事故により命を落としている。今後、交通事故を削減するためには、前方だけでなく周囲の交通状況を正確に把握する必要があり、先進運転支援システムや自動運転システムでは、センシングの広視野化が求められている。本研究では、前方センシングに求められるセンシングの遠方化と広視野化を両立するマルチシフト方式のステレオカメラを開発した。さらに、1つのカメラで全周囲センシングを実現する、モノキュラステレオカメラを開発した。本講演では、これら車載向けステレオカメラの広角化技術について紹介する。
No.477

2/21
(火)

「オールフォトニクスネットワークに向けた新たな光アクセス伝送・システム技術」

日本電信電話株式会社
NTTアクセスサービスシステム研究所 光アクセス基盤プロジェクト
 主席研究員・プロジェクトマネージャ吉田 智暁 氏
(内容)
   社会・産業のデジタル化やリモートワールドの進展に伴い、ネットワークを流れるデータ量は増加し、その種類やニーズが増え続けている。特に従来主流であったベストエフォート型とは異なるユースケースが登場し、通信ネットワークに対して拠点や遅延に新しいニーズが生まれつつある。これらのニーズに対応するべくNTTは2019年にIOWN構想を発表するとともに、光ファイバが有する大容量、長距離、多重伝送能力をさらに活かし、多種多様な光アクセスサービスを提供するオールフォトニクスネットワーク(APN)の研究を開始している。本講演では、これまでのAPNの光アクセスに着目したアクティビティを紹介するとともに、APN実現に向けた光アクセス伝送・システム技術の最新動向について述べる。
No.478

3/28
(火)

「マルチモード光ファイバを用いた車載高速光通信とRadio over Fiber」

矢崎総業株式会社
技術研究所 高周波伝送技術研究部 光通信技術研究チーム
 チームリーダー相葉 孝充 氏
(内容)
   マルチモード光ファイバ(MMF)は大きなコア径を有することから光接続に高精度な調心作業を伴わず、低コスト化に向く中短距離光通信システムの伝送媒体として用いられており、車載用光通信システムとしても欧州を中心に採用されてきた。近年はADASの機能向上、移動通信システムを活用したコネクティッドサービスの普及により、車載ネットワークの情報量も増加しており、それらに対してマルチギガビット光伝送に向けた標準化が進められている。また5G以降の移動通信システムではデータレートの大容量化やカバレッジエリア構築技術として周波数利用効率の高いAnalog Radio over Fiber(A-RoF)の活用も検討されている。本講演ではMMFを用いた車載高速光通信の変遷と動向、5G/Beyond5Gに向けたRoFについて紹介する。
OITDA