No. 開催日 |
講演テーマ / 講師 |
No.359
4/16 (火) |
「アト秒光パルスの研究動向と展望」
東京大学大学院工学系研究科 光量子科学研究センター
特任准教授 石川 顕一 氏
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(内容)
チャープパルス増幅によって高強度のフェムト秒レーザーパルスが発生
できるようになったことで、高次高調波発生(非摂動論的な波長変換に
よって数十次以上にもおよぶ高次の倍波が発生する現象)に代表される
高強度レーザー場現象が、活発に研究されるようになりました。これを
光周波数コムなどの光波の精密制御技術と組み合わせることで、現在では
1フェムト秒より短いアト秒時間スケールの光パルスの発生が可能に
なっています。
本セミナーでは、高強度レーザー場現象の基礎とアト秒パルス発生の
原理を概説した後、アト秒光パルスの応用について紹介します。紹介する
内容は、基礎科学分野のものが主ですが、産業分野への応用展開の可能性
についても議論できればと考えています。
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No.360
5/21 (火) |
「シリコンオンチップ光デバイスの最新動向」
東京工業大学 理工学研究科 電気電子工学専攻
教授 水本 哲弥 氏
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(内容)
光による信号伝送は、小さなフットプリントで高速・大容量の信号伝送
を可能にする。長距離の情報伝送に利用されているこの技術が、装置間、
ボード間、あるいはボード内の信号伝送に適用されつつある。さらに、ボ
ード上のシリコンLSIチップ内にも光によるデータ伝送が検討されており、
シリコンフォトニクスとよばれる研究分野として注目されている。光ファ
イバで情報通信ネットワークを構築するように、シリコンチップ内に光デ
ータ伝送のネットワークを形成することも可能になる。
本講演では、シリコンチップ上の光データ伝送に必要なデバイス技術と
して、特に光スイッチングデバイス及び光非相反デバイスを中心に最新の
研究動向を紹介する。
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No.361
6/18 (火) |
「未開拓波長半導体光デバイス技術の最新動向」
−深紫外、テラヘルツ−
独立行政法人理化学研究所 平山量子光素子研究室
主任研究員 平山 秀樹 氏
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(内容)
波長が230-350nmの深紫外発光ダイオード(DUV-LED)、レーザダイオード
(LD)は、殺菌・浄水、医療、生化学産業、高密度光記録、照明、公害物
質の高速分解(ダイオキシン、PCB)、紫外硬化樹脂など、さまざまな分野
での応用が考えられその実用化が期待されている。また、電波の透過性と
光の集光性などの性質を兼ね備えたテラヘルツ光は、各種透視・非破壊検
査用の光として大きな注目を集めている。最近、窒化物AlGaN系半導体を用
いたDUV-LEDの開発が盛んに行われており、すでに実用可能な出力も達成さ
れてきた。殺菌用途波長(250-280nm)のDUV-LEDはすでに10%以上の発光
効率も実現されており、100ミリワット以上の高出力も可能となってきた。
本講演では、窒化物半導体DUV-LEDの最近の進展と実用化に向けた最新の
技術開発ついて、AlGaN系半導体の結晶成長、高効率化の素技術などを含め
て概説する。また、実用化に大きな期待がかかっていテラヘルツ量子カス
ケードレーザ(THz-QCL)の開発の最新動向についても紹介する。現在課題
となっているTHz-QCLの発振動作の高温化や、窒化物半導体を用いた未開拓
波長QCLの実現などに関して、最近の技術進展を詳しく解説する。
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No.362
7/16 (火) |
「ポリマー光導波路によるオンボード光インターコネクト技術の最新動向」
慶應義塾大学 理工学部
准教授 石榑 崇明 氏
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(内容)
コンピューティングシステムの最高峰に位置するスーパーコンピュータは、
今後の更なる処理速度の向上に対して、ノード間の信号伝送帯域の拡大ならびにシステムの消費電力の
低減が大きな技術課題となっています。また、昨今のクラウドサービスの普及とともに、汎用サーバに
対しても更なる高性能化、低消費電力化の要求が高まっており、これらの問題を解決する技術として、
光インターコネクトに注目が集まっています。すでに、一部のスーパーコンピュータやデータセンタ内
ネットワークには、主にマルチモード光ファイバを利用した光リンクの導入が進んでおり、ボード間
光インターコネクトは普及期に入っていると言えます。今後、ボード上のチップ間ネットワークを
いかに光配線化して、演算チップのより近傍まで光信号にて伝送するかが、技術課題となってきています。
本講演では、このオンボードインターコネクトのキーデバイスとして期待が集まる、ポリマー光導波路、
及びポリマー光導波路をプリント基板に埋蔵した光配線板技術の現状並びに今後の展望について
俯瞰します。昨今、目覚ましい成果を遂げているSiフォトニクス技術により、光・電子回路集積化技術が
さらなる進展を見せる中、オンボード光インターコネクト技術の役割、可能性について議論します。
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No.363
8/20 (火) |
「ファイバレーザによる加工技術の最新動向」
前田工業株式会社 レーザー事業部
事業部長 三瓶 和久 氏
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(内容)
高ビーム品質、高効率、メンテナンス性から、高出力のレーザ加工の分野では
ファイバーレーザが主流になりつつある。リチウムイオン電池の生産から自動車、車両、橋梁、船舶にいたる
様々な業界でファイバーレーザの適用が進みつつある。
ものづくりを革新するための道具としてファイバーレーザ加工の適用を検討するケースが増加しており、
レーザ加工プロセスも進化してきている。スキャナーを使った光走査を利用した溶接では生産性を向上させる
に限らず、溶融池を制御して溶接品質を向上する技術として採用されるようになっている。レーザ・アーク
ハイブリッド溶接も大型の構造物への適用が拡大している。ファイバーレーザについてその構造と特徴から始めて、
最新の加工技術、そして適用例について紹介する。
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No.364
9/17 (火) |
「Additive Manufacturing課題と可能性」
東京大学 生産技術研究所
教授 新野 俊樹 氏
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(内容)
Additive Manufacturing (付加製造)は米国政府の政策、MAKERSの出版、
また破格の廉価版の3Dプリンターの登場などにより、この1年間で急速に認知度を上げてきました。
本講演では、3Dプリンター、Additive Manufacturing(AM)、積層造形、ラピッドプロトタイピングなど、
昨今の言葉の混乱をまず整理して、その技術的概要を解説します。
AM技術は1980年代後半に初めて実用化されました。当時は,CADの出力装置として3次元的形を確認する
程度の性能しかありませんでしたが、その後技術が少しずつ進み、2000年代半ばからは一部の樹脂部品では
最終製品も作られるようになってきました。しかしながら、近年の大ブームとはうらはらに、実用部品への
応用はまだまだ限定的で、この技術を上手に利用することができる応用の創出が技術の爆発的向上の鍵に
なっています。講演の後半では、AM技術およびその応用の歴史にふれ、技術的立場から利点、欠点、課題、
そして可能性について解説します。
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No.365
10/15 (火) |
「次世代高効率太陽電池技術の最新動向」
東京大学 先端科学技術研究センター
教授 岡田 至崇 氏
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(内容)
変換効率45%の多接合タンデム型太陽電池がこの1,2年で達成される見込みであり、
次の研究開発のターゲットとして、1,000倍集光型セルで効率50%が掲げられている。このとき、現在の市場標準の
InGaP/InGaAs/Ge系V−X族化合物半導体を用いた3接合タンデムセルから、バンドギャップ1eV帯の新材料を
新たに追加した4接合化が必要となる。また量子ドットなどの新しいナノ構造太陽電池にも期待が寄せられている。
多接合タンデム型太陽電池技術の現状、及びタンデムセルとの比較を交えながら、量子ドット太陽電池の現状と
課題を紹介する。特に量子ドット超格子中に形成される中間バンドを用いて太陽電池の高効率化を目指す研究開発が
加速している。
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No.366
11/19 (火) |
「ヘテロコア光ファイバセンサ技術と応用例」
株式会社コアシステムジャパン
開発部長 佐々木 博幸 氏
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(内容)
日本初の光ファイバセンサ技術であるヘテロコア光ファイバセンサについて原理から
その応用まで説明する。ヘテロコア光ファイバセンサは、変位や歪などを検出する物理型と、屈折率やpH、
湿度などを検出する化学型に大分される。物理型センサはFBGやBOTDRといった従来から研究されている
光ファイバセンサに比べ、計測原理は簡便でセンサ自体に温度依存がないなどの特徴を有しているため、コスト面でも
取り扱いやすさでも実用化に最も有望な技術といえる。この物理型センサは一部実用化され、ひび割れ、土砂崩れ、
水位、傾斜等々の危険予知を行う防災・減災領域に使われ始めている。また、光ファイバ自体の細く靭やかという
特徴を生かし、衣類等に縫いこむような感覚で関節などの動きを捉える医療・介護領域の応用例も紹介する。
一方、化学型センサは光ファイバ自体を削ったり融解したりせず通信用光ファイバの強度を有したままセンシング
可能であるため、初めて実用化の可能性がある技術と考えられる。化学型センサの応用例としては、例えば水素検出
などの光ファイバセンサの特徴である防爆性の必要なセンシング技術やその他を紹介する。
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No.367
12/17 (火) |
「スーパーハイビジョン技術の最新動向」
日本放送協会 放送技術研究所
主任研究員 西田 幸博 氏
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(内容)
スーパーハイビジョン(Super Hi-Vision)はハイビジョンの16倍の3,300万画素の超高精細度映像と,
22.2chの3次元音響から成る高臨場感放送システムである。NHKは、1995年の研究開始以来,視覚と映像、聴覚と音響それぞれの
心理物理的な効果に関する研究に基づいて、高臨場感・高品質を伝える2次元テレビジョンとして最適な映像パラメータと
音響パラメータを設計し、技術基準の標準化、カメラからディスプレイ、収音から再生に亘る機器開発に取り組んできた。
現在,スーパーハイビジョンの試験放送を2016年に開始することを目指して,放送方式の標準化,実用システムの開発,
普及展開を進めている。これらスーパーハイビジョンの研究開発、標準化、普及展開の最新動向を紹介する。
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No.368
2014 1/21 (火) |
「テラヘルツ帯量子カスケードレーザ開発の現状とその応用」
独立行政法人 情報通信研究機構 未来ICT研究所
研究所長 寳迫 巌 氏
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(内容)
テラヘルツ帯におけるミリワットクラス出力の小型光源として魅力的なテラヘルツ帯
量子カスケードレーザ(THz-QCL)の開発状況やその応用について解説する。
THz-QCLはテラヘルツ帯光源として有望視されているが、最高動作温度は約200Kに
留まるなど課題も残されているのが現状である。デバイス技術開発の現状として、
THz-QCLの活性層デザインや共振器等のデザインを示し今後の見通しを述べる。
さらにTHz-QCL応用として、イメージングや計測用の光源としての可能性等について
実例を示しつつ述べる。
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No.369
2014 2/18 (火) |
「LED照明の標準化動向」
東芝ライテック株式会社
技術企画部 グループ長 垣谷 勉 氏
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(内容)
LED照明は、省エネルギーと長寿命である特徴をいかして急速に普及してきた。
最近では、日本国内に留まらす欧米やアジア・中東諸国においてもLED照明の普及が進んでいる。
また、LED照明は従来光源と異なり、半導体製品であるLEDチップ、LEDモジュールやこれを点灯するための
電源デバイスを調達すれば、比較的容易に製品として組み立てることが可能であり、LED照明に参入する
企業も多い。これに伴って、企業間の競争も激しく、多様なLED照明製品が市場に投入されつつある。
LEDランプやLED照明器具は、一般消費者が使用するケースがほとんどである。そのため、LED製品に対して
一定の信頼性を確保することが重要であり、安全性や性能(光出力、寿命など)について規格化(標準化)
することが求められる。一般消費者の混乱を避け、健全な照明市場を形作るためにも標準化が重要な役割を
果すものと思われる。ここでは、LED照明製品の安全性や性能に関わる標準化の動向について、電気用品安全法、
JISを中心に解説する。
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No.370
3/18 (火) |
「高速切り替え可能な100Gデジタルコヒーレント光ネットワーク技術の実用化」
NTTエレクトロニクス株式会社 ブロードバンドシステム・デバイス事業本部
主事 山崎 悦史 氏
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(内容)
近年の映像配信サービス、高速モバイル通信サービス、クラウド型サービス等の普及を背景に
データトラヒックが増大し、通信ネットワークの大容量化・経済化への要求が高まっている。現在、波長あたり100-Gbit/sの
波長多重伝送システム技術の研究開発・導入が急速に進んでいる。100-Gbit/s伝送を実現する主要な方式・手段である
偏波多重QPSK変調方式およびデジタルコヒーレント信号処理技術に関する基本アルゴリズム、基本回路構成について紹介する。
また、波長あたりのビットレート増大に伴い、障害時の影響範囲は大きくなるため、100-Gbit/sシステムでも障害時には
従来のSONET/SDHシステムと同様に50 ms以内の高速経路切替が求められる。それを実現する高速波長分散推定を用いた
高速経路切替技術について紹介する。また、フィールド敷設ファイバ環境で実施した100-Gbit/s伝送特性評価結果・
高速復旧動作実証についても紹介する。
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