No. 開催日 |
講演テーマ / 講師 |
No.335
4/19 (火) |
「デジタルグリッド:スマートグリッドの未来」
東京大学 大学院工学系研究科
特任教授 阿部 力也 氏
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(講師からのコメント)
2011/3/11の未曽有の地震と津波により、想定範囲外の原子力
事故が起こった。東北・関東は電源不足に陥り、計画停電を余儀
なくされている。今講演では、このような事態がなぜ起き、今後
のエネルギー政策をどのようにすべきかについても触れ、デジタ
ルグリッドの必然性を示したい。
(内容)
現在の電力系統は、自然エネルギーを大量に取り込むようには
作られていない。これをスマートグリッド化することにより、
状態の把握はできるようになる。さらにスマートグリッドの未来形
として、太陽エネルギーをふんだんに取り込み、電力潮流自身を
アクティブにコントロールし、エネルギー資源制約のない社会を
構築できる情報・電力融合ネットワーク「デジタルグリッド」を提案する。
電力を色づけし、目的地に必要な量を送るインターネットライクな
電力網と、様々な付加価値を付けた自由市場型電力ビジネスの可能性
について紹介する。さらにその技術的可能性、先進国・新興国・開発
途上国別の移行手順についての構想を示す。
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No.336
5/17 (火) |
「光多値変復調技術の最新動向」
日立製作所 中央研究所
主管研究員 佐々木 慎也 氏
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(内容)
インターネットの広範な普及や広帯域サービスの出現
によって、アクセスネットワークのみならず,基幹ネッ
トワークのトラフィックも急増している。
従来、光通信システムでは、光のオンオフのスピード
上昇や波長数増加によってトラフィック上昇に対応して
来た。しかしながら,近年のトラフィック増加のスピー
ドは、高速デバイスの開発スピードより早く、また、光
のオンオフの更なるスピード上昇は、光ファイバの波長
分散や偏波分散の影響を受けやすいシステムを構築する
事になり、通信ノード間距離を保つことが難しくなって
来る。
そこで、新しい光通信技術が必要となり、光を波とし
て使用する変復調方式の研究に注目が集まっている。特
に、光の複数の振幅や複数の位相を用いて、一つの光
の状態で複数ビットを送受信する光多値変復調技術が近
年脚光を浴びている。
この光多値信号は、シンボルレートがビットレートよ
り低いため、光多値信号を用いた光通信システムは、同
じビットレートを光のオンオフで実現した光通信システ
ムと比較して、波長分散や偏波分散の影響を受けにくく、
また低速のシンボルレートで動作するデバイスが使用で
きる、という特長がある。
本セミナでは、光多値変復調技術の原理、その研究の
歴史、ならびに最新の研究成果について紹介する。
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No.337
6/21 (火) |
「マイクロ光造形による 3次元微小精密部品の製造とMEMS・フォトニクス・医療応用」
横浜国立大学 大学院工学研究院
准教授 丸尾 昭二 氏
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(内容)
マイクロ光造形法は、レーザー光を用いて光硬化性樹脂を
硬化させて、あらゆる3次元マイクロ・ナノ構造体を作製でき
る技術です。この方法は、100nmを凌ぐ加工分解能が達成され
ており、フォトニクス、MEMS、医療デバイスなど幅広い分野に
応用されています。本講演では、マイクロ光造形法の加工分解能
と加工精度の向上方法について最新技術を紹介します。また、
光硬化性樹脂だけでなく、ナノコンポジット材料やゲル、金属
など新材料を用いた造形技術を紹介します。さらに、マイクロ
光造形法を用いて作製した3次元マイクロ構造を他の材料に
転写する3次元モールド技術についても紹介します。3次元
モールド技術の1つであるシリコーン樹脂型を用いるソフト
モールド法では、コイルバネなどの複雑な3次元形状やマイクロ
可動部品も複製できます。また、セラミックス微粒子を用いた
ハードモールド法を利用すれば、樹脂モデルをセラミックスに
転写することができます。例として、シリカ微粒子を用いた
透明なマイクロ流路やバイオセラミックスを用いた細胞培養足場、
アルミナを用いたマイクロ機械部品などの作製例を紹介します。
これらのモールド技術は、マイクロ光造形法の適用材料と生産性を
大幅に向上できます。講演では、マイクロ光造形法および複製技術の
活用例として、フォトニクス、MEMS、医療デバイスなどへの応用研究
についても多数紹介します。
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No.338
7/19 (火) |
「シリコン・ゲルマニウムフォトニクスの現状と将来展望」
東京大学 大学院工学系研究科
准教授 石川 靖彦 氏
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(内容)
Siフォトニクスは、Si-CMOS加工技術をベースに、光デバイスの集積化をSiをプラッ
トフォームとして実現する技術である。LSIで培われた微細加工技術と信頼性・生産
性を光デバイス作製に適用することで、低価格で小型(= 高速・低電力)の光電子集積
回路の実現が期待される。Siは光通信波長域(1.3-1.6μm)において光吸収がなく、サ
ブミクロンサイズの細線やリブ構造に加工すると、通信波長域で動作する光導波路と
して機能する。微小であること、また合分波機能も実現できることから、チップ上で
の光通信に適している。一方で、受発光や光変調といった機能を有するアクティブデ
バイスにSiを利用することは困難である。従来のIII-V族化合物半導体やLiNbO3など
の利用は、Siプロセスへの導入の観点で制約がある。ここでは、受発光や光変調機能
を実現するアクティブデバイス材料として「Ge」を利用するアプローチを紹介する。
パッシブデバイスのシリコン化とアクティブデバイスのゲルマニウム化により材料種
を低減することで、光電子集積の進展が期待できる。
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No.339
8/23 (火) |
「大規模太陽光発電システムの動向と期待」
(株)NTTファシリティーズ ソーラープロジェクト本部 部長/ゼネラルアドバイザー
(東京工業大学 特任准教授)
田中 良 氏
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(内容)
2011年3月11日わが国ではこれまで経験したことのない大地震が発生した。その少
し前にもニュージーランドの地震、宮崎県の新燃岳の噴火と我々の住む生命体である
地球はたえず大きな変化をもたらしている。果たしてこれは何を示唆しているのだろ
うか。単なる自然現象であると言い切れるのか、多分に人災が加わっているのではな
いだろうか。本講演では人災論はさておき、にわかに注目を集めてきた自然再生可能
エネルギーである太陽光発電について、本来の目的、わが国で導入されている太陽光
発電の国内外の現状と今後について紹介すると同時に、自然再生可能エネルギーを基
幹エネルギーと位置づけるための課題点等について報告する。
なお、本報告の中には22年度まで実施したNEDO委託事業である<大規模電力供給用
太陽光発電系統安定化等実証研究>の研究結果についても紹介する。
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No.340
9/20 (火) |
「3Dディスプレイ技術の現状と展望」 (インテグラルフォトグラフィー/ホログラフィーの最新動向)
神戸大学 大学院 システム情報学研究科
教授 的場 修 氏
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(内容)
2010年からの3D映画の大ヒットや3Dテレビの発売にみられるように、2眼式の立体
ディスプレイが商用化され、3Dディスプレイに対する期待が高まっている。ステレオ
視による3D映像をみるためには特殊なめがねを着用する必要があり、また、調節と輻
輳の不一致から長時間視聴には生理的問題があると指摘されている。このため、2眼
式3D映像表示に関しても様々なガイドラインの策定が進められている。一方で、上述
の手法とは異なり、空中に3D像を浮かび上がらせる3次元映像技術は理想的な立体映
像技術として期待されている。その有力な技術としてインテグラルフォトグラフィー
やホログラフィーが知られている。インテグラルフォトグラフィーでは、レンズアレ
イにより3D物体の視差画像を結合することで3D像を復元する。ホログラフィーでは光
の波面情報を忠実に再現でき,奥行きの長い高精細な立体映像を表示することができ
る。講演では,インテグラル式3D ディスプレイとホログラフィック3Dディスプレイ
の原理を示し,その性能比較や世界的な研究動向について紹介する。
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No.341
10/18 (火) |
「ファイバレーザ応用を中心とした特殊ファイバ技術」
株式会社フジクラ 光電子技術研究所 光技術研究部
グループリーダ 島 研介 氏
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(内容)
ファイバレーザは、光ファイバをレーザ媒質とした半導体励起固体レーザ
であり、本質的に、優れたビーム品質、高輝度、高効率、小型、レーザ光ファイバ伝
送の容易性などの特徴を備えている。そのため、ファイバレーザは材料加工をはじ
め、医療、計測、軍事の分野で急速に実用化が進んでいる。そのファイバレーザの技
術的進化の方向には、さらなる高出力化や高効率化、発振波長の多様化がある。ま
た、パルスレーザに限ってはさらに、短パルス化、高繰返し化などがある。これらの
進化を支えてきた要素技術として、励起用半導体レーザの技術発展もあるが、特殊
ファイバの技術発展の寄与も大きい。ファイバレーザに応用可能な特殊ファイバは、
レーザ媒質である希土類添加光ファイバはもちろんのこと、偏波面保持ファイバ、
フォトニッククリスタルファイバ、フッ化物ファイバなど非常に多岐にわたる。本講
演では、ファイバレーザの進化を支えてきた様々な特殊ファイバ技術について講演者
らの開発を中心に紹介する。
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No.342
11/15 (火) |
「光技術を用いた高速かつ高精度な三次元形状計測手法と産業への応用」
和歌山大学 システム工学部光メカトロニクス学科
准教授
藤垣 元治 氏
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(内容)
品質を向上させて競争力のある製品づくりを行うためには、外観検査は重
要な要素であり、多くの生産現場で行われている。とくに三次元形状計測のニーズは
高まっており、その高速化と高精度化が求められている。しかし、これまでに多くの
三次元形状計測装置が製品化されているが、非常に高価なものが多く、また、ニーズ
に合った高速性と精度を兼ね備えているものがあまりないためか、産業界への普及は
進んでいない。筆者の所属する研究室ではこれまでに、光応用技術による縞画像解析
を利用した三次元形状計測や微小変形計測、ひずみ分布計測などの計測手法につい
て、計測の速度や精度を高める技術の研究開発を行ってきた。その中で、三次元形状
計測を高速かつ高精度に行うことができる全空間テーブル化手法を開発した。全空間
テーブル化手法は、レンズの歪曲収差の影響が入らず、ランダムノイズ以外のほとん
どの誤差要因を取り除くことができる手法である。また、メモリ内のテーブルを参照
するだけで三次元座標を得ることができるため高速である。投影格子の安定性があれ
ば、ピッチの均一性や投影格子の波形を厳密に調整しておく必要はない。光学系の配
置の制約も少なく、従来手法では解析できないような格子投影手法も利用できるよう
になる。そのため、安価であっても高速で高精度な製品を作ることもできる。講演で
は、この手法の原理と各種光学系への適用、産業への応用について紹介する。
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No.343
12/20 (火) |
「次世代PON光伝送技術の開発状況」 〜10G-EPON,XG-PONへの適用を目指して〜
三菱電機株式会社 情報技術総合研究所 光通信技術部
チームリーダー 中川 潤一 氏
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(内容)
近年のインターネットトラヒックの増大や、高精細動画像配信サービス、
ピアトゥピアサービスの発展に伴い、現在商用導入されている GE-PON、G-PON シス
テムの10倍の高速大容量が実現可能な10GクラスのPONシステム:10G-EPON、XG-PON
システムへの期待が高まっている。2009年9月にはIEEE802.3avにて10G-EPON の標準
化が、2010年6月にはITU-TにてXG-PON1の標準化が相次いで完了し、世界の4主要研究
機関にて積極的に開発が行われている。10G-EPON、XG-PON は、現在広く普及してい
る GE-PON、G-PON とのスムーズなマイグレーションを実現するために、既存システ
ムと同一ファイバ網上での収容が求められる。本セミナーでは、世界各国を含む光ア
クセスシステムの導入動向、並びに、10G-PON、XG-PONの光伝送技術の最新開発状況
について紹介する。特に、10G-EPONとGE-PONシステムが混在したネットワークを実現
するためのキーコンポーネントである10.3G/1.25Gデュアルレート光トランシーバ技
術の最新開発状況について報告する。
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No.344
H24年 1/17 (火) |
「東日本大震災における情報技術の現状と課題
」
立命館大学 情報理工学部 情報コミュニケーション学科
教授 仲谷 善雄 氏
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(内容)
自治体防災情報システムや携帯電話を含む既存の情報系各種システムの脆
弱さが露呈するとともに、Skype、twitterやフェイスブックなどのSNSが、東京など
での情報共有に大きな役割を果たし、新たなメディアとして評価された。一方、これ
らのメディアは肝心の被災地中心部では利用できなかったり、デマなどの発生・拡大
源になるなどの課題も明らかになった。Googleを始めとするWebサービスプロバイ
ダーは、パーソンファインダー、思い出の写真保存プロジェクト、地図をベースとす
る情報共有サービスなどの新規サービスを短時間で立ち上げて提供し、新たな防災イ
ンフラとしての有効性を示した。本講演では、このような新たな動きについて「どの
ようなメディアが」「誰にとって」「どのように」
「効果があったのか」「課題は何か」について整理し議論する。
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No.345
2/21 (火) |
「カーボンナノチューブ/グラフェンの光学特性とその応用」
東京大学 大学院 工学系研究科 電気系工学専攻
教授 山下 真司 氏
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(内容)
最近、カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェンといったナノカーボン材
料が注目されている。グラフェンの発見に対して2010年度のノーベル物理学賞が与え
られたことは記憶に新しい。グラフェンは炭素の2次元のナノ構造であり、炭素原子
のsp2
結合からなる蜂の巣状の六角形格子構造をとる。単層CNTは筒型のグラフェンとみる
ことができる。2次元のグラフェンは価電子帯と伝導帯が一点で交わる線形で半金属
的なバンド構造を持ち、その結果ほぼ波長に依存しない共鳴吸収を持つ。グラフェン
を筒状
に丸めて1次元化したCNTは金属型と半導体型の2種類に分けられ、半導体型CNTはバ
ンド構造をもち、バンドギャップに相当する波長の光子を共鳴吸収する。CNTやグラ
フェンはナノ発光素子や透明電極としての光学応用が期待されている。
一方、共鳴吸収では強い光が入射した場合には吸収飽和が起こるが、CNTおよびグ
ラフェンでは吸収飽和の緩和が非常に高速(<1ps)であることが知られている。同時
に、π電子の存在とその低次元構造による非線形性増大により大きな3次光非線形性
をもつ
ことも知られている。我々は、CNT/グラフェンのこの光非線形性を利用した受動
モード同期光ファイバレーザと光非線形デバイスを研究してきた。本セミナーでは、
CNTおよびグラフェンの光学特性および光非線形性について概観し、それらの応用に
ついて我々の研究を中心に紹介する。
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No.346
3/27 (火) |
「フォトニックノード技術の最新動向」 〜光トランスポートネットワークのさらなる発展を目指して〜
日本電信電話株式会社 NTT未来ねっと研究所 フォトニックトランスポートネットワーク部
主任研究員 米永 一茂 氏
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(内容)
インターネットなどデータトラヒックの急激な増大により、情報通信網
の大動脈である光トランスポートネットワークへの大容量化・低コスト化・低消費
電力化の要求が高まっている。光スイッチなどフォトニクスデバイスを積極的に利
用したフォトニックノード技術は、こうしたネットワークへの要求に応え得る可能
性を秘めており大きな期待が寄せられている。近年、光スイッチを用いたROADM
(Reconfigurable Optical Add/Drop Multiplexing)ノード技術が実用化され、本
格的なフォトニックネットワーク時代の幕が開けた。研究レベルではフォトニック
ノードの更なる高機能化を目指した検討が進んでおり、例えば、CDC-less
(Colorless/Directionless/Contentionless)光挿入分岐ノード、光電気ハイブリ
ッドノード、マルチ粒度光スイッチノード、フレキシブルグリッドノードなどが代
表例として挙げられる。
本セミナーでは、光トランスポートネットワークの発展の中で要求されるフォト
ニックノードの機能を俯瞰し、その機能を実現するためのデバイスを含めたフォト
ニックノード技術について概説する。はじめにROADMノードの基本機能および構成
技術について述べ、さらにその発展形としてのいくつかのフォトニックノード技術
について、国際会議等の最新の研究動向を中心に紹介する。
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