平成28年度 国際会議速報

(2017年4月14日更新)

(2016年5月24日掲載)
(H28-No.1)光エネルギー
テーマ:集光型太陽光発電
CPV-12ショート速報
西岡 賢祐(宮崎大学)
会議名 :12th International Conference on Concentrator Photovoltaic Systems
開催期間 :2016年4月25日〜27日
開催場所 :Historic Department Store(Freiburg、ドイツ)

-要 約-
 CPV-12は、集光型太陽光発電に関連する技術に特化した内容に関する国 際会議である。世界各国より93件の発表があり、151名の参加者が集い 活発な議論が行われた。セル、モジュール、システムの高効率化が進んで おり、特に顕著な進展として、凸レンズと高効率4接合太陽電池の組み合 わせによるミニモジュールの効率で43.4%がFraunhofer ISE(独)から報 告された。また、これまでほとんど報告されていなかった、集光した太陽 光を太陽電池だけでなく熱としても同時利用する研究について多くの機関 より報告された。電気だけでなく、熱を有効に利用することによりトータ ルエネルギー効率を高めようという意識が強くなっていることが感じられた。
(2016年 6月 3日掲載)
(H28-No.2)光エネルギー
テーマ:カルコゲン系化合物薄膜太陽電池
2016E-MRS Sショート速報
櫻井 岳暁(筑波大学)
会議名 :2016 European Materials Research Society Spring Meeting and Exhibit
開催期間 :2016年5月2日〜6日
開催場所 :Lille Grand Palace(Lille、フランス)

-要 約-
 2016 E-MRS Spring Meetingでは、カルコゲン系太陽電池 (CdTe, Cu(In,Ga)(S,Se)2,Cu2ZnSn(S,Se)4など)に特化したシンポジ ウム(Symposium V Thin Film Charcogenide Solar Cells)が開催され、 205件の発表件数が集まり盛況に議論が進められた。エネルギー変換効率 の更新に関する報告は無かったものの、基礎物理からデバイスプロセス 開発、シミュレーションまで、カルコゲン系太陽電池を深く掘り下げた 研究報告が多数あり、聞き応えがあった。
(2016年6月9日掲載)
(H28-No.3)光ユーザインタフェース
テーマ:ユーザインタフェース関連技術及び量子ドット
SID2016ショート速報
長谷川 雅樹(メルク)
会議名 :Display Week 2016 Symposium
開催期間 :2016年5月22日〜27日
開催場所 :Moscone Convention Center (San Francisco, CA, USA)

-要 約-
 LCD、OLED、レーザー走査など多様な方式の小型高精細ディスプレイの 普及にともなって、様々な光学系のAR/VRデバイスが提案された。表示 およびセンサデバイスの性能向上により、実用的な応用が可能となり、 今後ユーザインターフェイスが大きく変化するであろう。また、8k放送 規格の広色域に対応するために注目されている量子ドットの開発の裾野 が広がった。さらに棒状の量子ロッドの開発も多くの企業や大学で進み、 要素材料としてバックライトだけでなく様々なディスプレイ部品に組み 込まれると思われる。
(2016年 6月 9日掲載)
(H28-No.4)光加工・計測
テーマ:バイオセンサ
Biosensors2016ショート速報
芦葉 裕樹(産業技術総合研究所)
会議名 :226th Anniversary World Congress on Biosensors
開催期間 :2016年5月25日〜27日
開催場所 :Swedish Exhibition and Congress Centre(イェーテボリ、スウェーデン)

-要 約-
 Biosensors 2016は、昨今の世界的なバイオセンサ研究開発の機運の高ま りから、前回会議に比べて一層規模を拡大した会議となった。多様なバッ クグラウンドを有する専門家から様々なセンサおよび周辺技術の報告が あった。次の市場を狙うバイオセンサの「主流」のターゲットは、家庭 などで使用できるヘルスケアおよび個別医療に向けた生体計測と考えら れる。そのようなセンサには小型で安価であることが求められるが、バ イオセンサの小型化、低コスト化の流れは本会議で広く共有された認識 のように思われた。今後もこのような研究開発のトレンドが続くものと 考えられる。
(2016年 6月 17日掲載)
(H28-No.5)光加工・計測
テーマ:レーザ微細加工
LPM2016ショート速報
長谷川 智士(宇都宮大学)
会議名 :The 17th International Symposium on Laser Precision Microfabrication
開催期間 :2016年5月23日〜26日
開催場所 :Wyndham Grand Xi'an South(西安、中国)

-要 約-
 レーザ精密微細加工国際シンポジウムは、超短パルスレーザ加工に関連 する研究発表や議論の場を提供する会議であり、今回は中国にて開かれ た。地元開催ということもあり、発表件数に対する中国の占める割合が 非常に多く、近年のレーザ微細加工分野における中国の勢いを改めて実 感する会議であった。主なトピックスは、バイオ応用、レーザ誘起ナノ 周期構造、レーザビーム整形であった。特に、ナノ構造作製による細胞 形態制御や、レーザ誘起ナノ周期構造の形成メカニズムの解明に関する アプローチ、およびプラズモニクスとの融合による新たなビーム整形素 子の開発などが関心を呼んだ。
(2016年 6月 27日掲載)
(H28-No.6)光ユーザインタフェース
テーマ:酸化物半導体TFT
SID2016ショート速報
斉藤 信美(東芝)
会議名 :Display Week 2016 Symposium
開催期間 :2016年5月22日〜27日
開催場所 :Moscone Convention Center(San Francisco, CA, USA)

-要 約-
 SID2016に参加し、酸化物半導体TFTのセッションを中心に聴講した。 通常のボトムゲート構造を用いたInGaZnO TFTの基本性能の改善は一段 落した印象を受け、今年のSIDでは新規TFT構造やチャネル材料、積層 チャネルなど、新しい切り口の発表が相次いだ。ディスプレイの超高精 細化をモチベーションとして、酸化物半導体TFTが次のステージに進化 しようとしていることを実感した学会であった。
(2016年 7月 11日掲載)
(H28-No.7)光ユーザインタフェース
テーマ:結晶シリコン太陽電池
IEEE PVSC43ショート速報
小椋 厚志(明治大学)
会議名 :43rd IEEE Photovoltaic Specialists Conference
開催期間 :2016年6月5日〜10日
開催場所 :Oregon Convention Center(Portland、OR、米国)

-要 約-
 アメリカ・オレゴン州のポートランドで開催された IEEE PVSC 43より、 Area4の結晶シリコン太陽電池を中心に紹介する。2週間後に開催された ヨーロッパでの同様のイベント、EU-PVSECと日程が接近したことが影響 したのか、例年に比べて特に結晶シリコンの分野が低調に感じられた。 一方、単に高変換効率の数字のみを追うのではなく、あるべき理想に対 して劣化要因をきちんと解析したうえで、そのギャップを埋めるための 地道かつ科学的なアプローチを志向する報告が増加しつつある。また、 中国メーカーのTrinaからの積極的な発表が目立ち、あらゆる構造のセル を試作しつつ、そのすべてで世界最高レベルの効率を示していた。本学会 の最高峰の栄誉である、”Cherry Award”を、現在Trina社のチーフサイ エンティスト兼副社長を務めるPierre Verlinden氏が受賞したこともあ る種象徴的であった。
(2016年 7月 20日掲載)
(H28-No.8)光情報通信
テーマ:光アクセス
OECC/PS2016ショート速報
鈴木 巨生(三菱電機)
会議名 :21st Optoelectronics and Communications Conference/International Conference on Photonics in Switching 2016
開催期間 :2016年7月3日〜7日
開催場所 :朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター(新潟、日本)

-要 約-
 光通信関連技術に関する主要国際会議の一つであるOECC/PS2016(2016年 7月3日〜7日、新潟)にて報告された光アクセス分野の最新技術トピッ クスを紹介する。本学会では、近年大きな注目を集める第五世代無線シス テム(5G)や将来の各種IoTサービスの収容に適した光アクセスシステム として、ITU-T NG-PON2にて標準化されたTWDM-PONシステム、60 GHzミリ 波帯から300 GHz-600 GHzテラヘルツ波帯を使用した次世代RoFシステム 、波長あたり25 Gb/s超級PONシステムなど、大容量光アクセスシステム に関する報告が中心となった。
(2016年 7月 22日掲載)
(H28-No.9)光情報通信
光伝送・光ネットワーク
OECC/PS2016ショート速報
竹下 仁士(NEC)
会議名 :21st Optoelectronics and Communications Conference/International Conference on Photonics in Switching 2016
開催期間 :2016年7月3日〜7日
開催場所 :朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター(新潟、日本)

-要 約-
 2016年7月開催のOECC/PS2016において発表された光伝送・光ネットワー ク分野の研究から、特徴的な研究動向を中心にまとめる。光ネットワーク 分野では、データセンタをターゲットとする研究が堅調であり、IoTデバ イスと連携した研究が目新しい。光伝送分野では、空間多重による容量拡 大とともに、多重分離向けデバイス性能向上が加速している。また、第二 世代といわれる400 Gbps向けデジタルコヒーレント用DSPが、商用フェー ズに入りつつあることを感じさせる発表が多数あった。
(2016年 7月 26日掲載)
(H28-No.10)光無機材料・デバイス
III-V族半導体結晶成長
ICMOVPE18ショート速報
杉山 正和(東京大学)
会議名 :18th International Conference on Metal Organic Vapor Phase Epitaxy
開催期間 :2016年7月10日〜15日
開催場所 :Sheraton San Diego Hotel & Marina(San Diego, CA., 米国)

-要 約-
 隔年で開催されるICMOVPEが、今年は米国サンディエゴにて開催された。 最近はIII-V族化合物半導体の結晶成長に取り組む企業が逓減傾向にある ことを反映してか、本会議の参加者も減少傾向にありアカデミアの割合が 増している。華々しいパフォーマンスを発表しあう場というよりは、MOVPE を深いレベルまで議論しようという風潮がより強くなっているように感じ られ、派手さはないものの有益な会議であった。
(2016年 7月 26日掲載)
(H28-No.11)光エネルギー
プリンタブル太陽電池
HOPV16ショート速報
早瀬 修二(九州工業大学)
会議名 :International Conference on Hybrid and Organic Photovoltaics
開催期間 :2016年6月28日〜7月1日
開催場所 :Swansea University’s Bay Campus(スウォンジー、英国)

-要 約-
 今年のHOPV会議では特にペロブスカイト太陽電池の高効率化へのアプ ローチが議論され、小面積で公認効率で22.1%、1 cm2セル面積で公認 効率19.6%が報告された。市販化合物太陽電池、他結晶太陽電池の公認効 率(21-22%)に肉薄している。また、従来から懸念されていた耐久性に向 上に対するアプローチ、大面積化に対する報告が多くなり、研究動向が 変化しつつある。プリンタブル太陽電池である色素増感太陽電池、有機 薄膜太陽電池はスケールアップ、耐久性、新応用用途に関する研究報告 が多くなされ、引き続き量産実用化への道が模索されている。効率向上 を期待する研究も引き続き行われており、色素増感太陽電池ではVocの ロスが少ないCo, Cu電解液を用いた太陽電池が紹介された。
(2016年 7月 26日掲載)
(H28-No.12)光エネルギー
評価技術
EUPVSEC2016ショート速報
菱川 善博(産業技術総合研究所)
会議名 :European PV Solar Energy Conference and Exhibition 2016
開催期間 :2016年6月20日〜24日
開催場所 :The ICM - International Congress Center Munich(ミュンヘン、ドイツ)

-要 約-
 欧州で毎年開催されている太陽光発電分野の国際会議である。今年度は 会議そのものには展示会が無く、同時同施設で開催の展示会Intersolar Europeは運営が別であったこともあり、会議への参加者は1,742名、発 表論文数は1,053件、(+6つのパラレルイベント)(前回のアムステルダ ム会議は同約2,500 名、約1,300件)と昨年より減少したが、太陽電池 の会議として世界最大である。会議では新型結晶シリコン、薄膜(CIGS, CdTe, ペロブスカイト、集光型等)のデバイス・材料開発、性能向上や 性能評価、信頼性評価、システム技術や市場・政策等の幅広い話題につ いて盛んに議論された。ここでは主に筆者が専門の性能評価関係の内容 について述べる。
(2016年 7月 27日掲載)
(H28-No.13)光無機材料・デバイス
光通信用デバイス
OECC2016ショート速報
小林 亘(NTT)
会議名 :21st Optoelectronics and Communications Conference
開催期間 :2016年7月3日〜7日
開催場所 :朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター(新潟、日本)

-要 約-
 7月3日から7日に新潟で開催されたOECC2016における光通信用デバイス関連の中の主に光アクティブデバイスに関する講演内容の速報とそこで感じた著者の見解について報告する。光デバイス分野では全体として103件の投稿があった。投稿件数は減少傾向にあるが、フォトニッククリスタルレーザの非通信分野への応用、VCSELの高速化( > 50 Gbit/s)、エッジエミッティング高速変調光源 ( >100 Gbit/s)に進展がみられた。シリコンフォトニクス用のアクティブ素子として変調器の性能改善が報告された。シリコン上の光源集積としては、量子ドットレーザの貼り付けによる集積がポストデットラインで報告された。
(2016年 7月 27日掲載)
(H28-No.14)光無機材料・デバイス
InP系光デバイス
IPRM2016ショート速報
長谷部 浩一(NTT先端集積デバイス研究所)
会議名 :The 28th International Conference on Indium Phosphide and Related Materials
開催期間 :2016年6月26日〜30日
開催場所 :富山国際会議場(富山、日本)

-要 約-
 本稿では、国際会議IPRM2016について、主にInPを基盤とした光デバイ スに関する講演を中心にデバイス作製に携わる者として、著者の個人的 な見解を記している。プレナリーセッション、一般講演、ポスターセッ ションからそれぞれに感じた印象を速報として伝えるものである。
(2016年 8月 2日掲載)
(H28-No.15)光無機材料・デバイス
光デバイス関連
CLEO2016ショート速報
坂本 高秀、松本 敦(情報通信研究機構)
会議名 :Conference on Lasers and Electro-Optics 2016
開催期間 :2016年6月5日〜10日
開催場所 :San Jose Convention Center(San Jose、CA、米国)

-要 約-
 CLEO2016(2016年6月5日-10日, 米国サンノゼ)における、光デバイ ス技術に関する技術動向を報告する。今年のCLEOでは、シリコンフォト ニクス等をベースとした光集積技術に関して多くの報告があり、注目を 集めた。マイクロ共振器等を用いた光コム光源に関する技術も多数報告 されるなど、多岐にわたる分野で発表があり活況を呈した。
(2016年 8月 5日掲載)
(H28-No.16)光ユーザインタフェース
CG技術
SIGGRAPH2016ショート速報
越智 大介(日本電信電話株式会社)
会議名 :The 46th International Conference and Exhibition on Computer
 Graphics & Interactive Techniques
開催期間 :2016年7月24日〜28日
開催場所 :Anaheim Convention Center(Anaheim、CA、米国)

-要 約-
 2016年7月24日〜28日に米国アナハイムで行われたSIGGRAPH2016に おけるTechnical Paperセッションの中からディスプレイ、CG関連の 発表、および期間中行われたデモ展示(Emerging Technologies、VR Village)の中から特にインパクトの大きかったもの、注目を集めてい たものをピックアップして紹介する。ハリウッドの映画産業を支える CG技術、近年のVR・ARブームを支える技術に関して質の高い提案・報 告が随所にみられ、世界的にも注目を集める国際会議たる所以を垣間 見られる貴重な場であった。
(2016年 8月 23日掲載)
(H28-No.17)光加工・計測
3Dプリンタ
SFFS2016ショート速報
青山 英史(株式会社アスペクト)
会議名 :27th Annual International Solid Freeform Fabrication Symposium
開催期間 :2016年8月8日〜10日
開催場所 :AT&T Executive Education & Conference Center(Austin、TX、米国)

-要 約-
 この数年注目を集めた消費者を対象とした低価格の3Dプリンタブームは ここに来て完全に終息した感があるが、産業向けの3Dプリンタの利用に 関しては引続き国内外で着実に利用・導入が進んでいる。欧米を中心とし た海外では試作にとどまらずに最終用途にAM(Additive Manufacturing: 付加製造)技術を用いる動きが一層加速している。特に金属AM技術への 期待は大きく、製造用途としての技術プロセスを確立し、その造形品質を 検査・確認するための取り組みに注目が集まっている。
(2016年 8月 23日掲載)
(H28-No.18)情報処理フォトニクス
ホログラフィ
DH2016ショート速報
田原 樹(関西大学)
会議名 :Digital Holography & 3-D Imaging 2016
開催期間 :2016年7月25日〜28日
開催場所 :Kongresshaus Stadthalle Heidelberg(Heidelberg、ドイツ)

-要 約-
 2016年7月にドイツ連邦共和国ハイデルベルクのKongresshaus Stadthalle Heidelberg にて開催された国際会議DH2016において、ディジタルホロ グラフィ、3次元イメージング技術に関する研究発表の動向をまとめる。 高解像度の3次元ディスプレイや複屈折性の無い高分子材料を実現する フォトニクスポリマー、強散乱体の3次元画像計測技術に関する基調講 演が行なわれ、ディジタルホログラフィシステムの超小型化、ホログラ フィックイメージングの高性能化など、高機能化を目指した意欲的な研 究発表が多くなされている。アメリカ光学会(OSA)の100周年を記念し 例年以上に多くの行事が行われ、大いに賑わいを見せた。
(2016年 9月 8日掲載)
(H28-No.19)光無機材料・デバイス
Si及びIV族系フォトニクス
13thGFPショート速報
Cong Guangwei(産業技術総合研究所)
会議名 :The 13th International Conference on Group IV Photonics
開催期間 :2016年8月24日〜26日
開催場所 :Grand Kempinski Hotel Shanghai(上海、中国)

-要 約-
 本会議はSiとGeを主材料としたフォトニクスに関する中心的な国際会議 であり、今回第13回が上海で開催された。比較的小規模な会議ではあるが、 材料研究からシステム集積までの幅広い議論と活発な人的交流が特徴であ る。プレナリと招待講演で示されたように、Siフォトニクス技術は光イン ターコネクト製品として一部産業展開されつつも、将来のエクサビット時 代に向けてさらに桁違いの大容量高密度集積ソリューションが求められて いる。このような要求に呼応して、コスト低減、低電力化、高スケーラビ リティ、高密度集積等を実現するための様々な新しいデバイス技術、光I/O 技術、集積技術、材料技術等が報告された。
(2016年 9月 8日掲載)
(H28-No.20)情報処理フォトニクス
光メモリ
ODS2016ショート速報
片山 龍一(福岡工業大学)
会議名 :Optical Data Storage 2016
開催期間 :2016年8月28日
開催場所 :San Diego Convention Center(San Diego、CA、米国)

-要 約-
 この数年注目を集めた消費者を対象とした低価格の3Dプリンタブームは ここに来て完全に終息した感があるが、産業向けの3Dプリンタの利用に 関しては引続き国内外で着実に利用・導入が進んでいる。欧米を中心とし た海外では試作にとどまらずに最終用途にAM(Additive Manufacturing: 付加製造)技術を用いる動きが一層加速している。特に金属AM技術への 期待は大きく、製造用途としての技術プロセスを確立し、その造形品質を 検査・確認するための取り組みに注目が集まっている。
(2016年 9月 20日掲載)
(H28-No.21)情報処理フォトニクス
ナノフォトニクス
Optics+Photonicsショート速報
田中 拓男(理化学研究所)
会議名 :SPIE Optics + Photonics
開催期間 :2016年8月28日〜9月1日
開催場所 :San Diego Convention Center(San Diego、CA、米国)

-要 約-
 この会議は、最先端の光学技術全般を取り扱う国際会議で毎年開催され ている。今年の会議は、例年通り米国サンディエゴのSan Diego Conven- tion Centerで開催された。米国はもちろんヨーロッパ、アジアなど全 世界から参加者が集まり活発に議論が行われた。会議はNanoscience+En- gineering, Optics+Photonics for Sustainable Energy, Organic Photo- nics+Electronics, Optical Engineering+Applicationsの4つのシンポ ジウムから構成された。全体で65のカンファレンスが平行して開催され た光学関連分野のマンモス会議の1つである。
(2016年 9月 21日掲載)
(H28-No.22)光エネルギー
太陽光−化学エネルギー変換
SolarFuel16ショート速報
藤井 克司(北九州市立大学)
会議名 :International Conference on Advances in Semiconductors and Catalysts for Photoelectrochemical Fuel Production
開催期間 :2016年9月4日〜9月6日
開催場所 :Maritim ProArte Hotel in Berlin(Berlin、ドイツ)

-要 約-
 SolarFuel16は今年5回目となる太陽光エネルギーを化学エネルギーに 変換する技術について議論する会議である。いまだ実現されているとは 言えない、本当の意味での太陽光−化学エネルギー変換に対する有望な 技術を議論する数少ない会議といえる。参加者は昨年同様120名弱で、 以前と変わらず招待講演を中心に構成されている。本年度は、前回から 1年半程度開催期間が空いたためか、大きな内容の変化がみられている。 一つは多くのグループが二酸化炭素還元に対してテーマ設定を始めてお り、かなり詳細な議論が可能なグループがいくつか出てきていること、 もう一つは、自然エネルギーを用いて水分解水素製造を行うための水素 生成触媒と酸素生成触媒の本格的な探索が行われ始めたのと同時に実際 のシステム評価についての報告が行われ始めたこと、の二点である。
(2016年 9月 26日掲載)
(H28-No.23)情報処理フォトニクス
相変化材料・デバイス
EPCOS2016ショート速報
須藤 祐司(東北大学)
会議名 :European Phase Change and Ovonics Symposium(EPCOS)in 2016
開催期間 :2016年9月5日〜9月6日
開催場所 :Winstanley Lecture Theatre, Trinity college, Cambridge(Cambridge、イギリス)

-要 約-
 EPCOSは、相変化材料の基礎科学および光ディスクといった応用に関して 議論する場として2001年より開催されている国際シンポジウムである。 現在では、相変化メモリに関する議論が中心となっている。今回のシンポ ジウムでは、新規材料を含む相変化材料の光学物性や電気物性、また、そ のアモルファス構造や相変化メカニズムについての最新の成果が発表され ると共に、相変化材料を用いた新規応用に向けた研究成果が報告された。 また、最近話題になっている超格子型相変化膜における最新の研究成果が 多数報告された。
(2016年 10月 12日掲載)
(H28-No.24)光情報通信
光アクセス
ECOC2016ショート速報
鈴木 巨生(三菱電機)
会議名 :42nd European Conference and Exhibition on Optical Communication
開催期間 :2016年9月18日〜9月22日
開催場所 :Congress Center Dusseldorf(Dusseldorf、ドイツ)

-要 約-
 光通信関連技術に関する世界的国際会議の一つであるECOC2016にて報告 された光アクセス分野の最新技術トピックスを紹介する。本学会では、 既存の10G-EPONに続く次世代PONシステムとして、急激に市場が拡大す るデータセンタ用光トランシーバ向け光デバイスとの共用により低コスト 化を実現する、25 Gb/s級PON技術に注目が集まった。また、第五世代無 線システム(5G)を支える光アクセスシステムとして、TWDM-PON技術や AMCC(波長制御)技術、将来の幹線系と光アクセス系のシームレスな統合 を目的とした100 Gb/s級Coherent PON技術が中心的なトピックスとなった。
(2016年 10月 12日掲載)
(H28-No.25)光情報通信
光ネットワーク
ECOC2016ショート速報
瀧田 裕(富士通研究所)
会議名 :42nd European Conference and Exhibition on Optical Communication
開催期間 :2016年9月18日〜9月22日
開催場所 :Congress Center Dusseldorf(Dusseldorf、ドイツ)

-要 約-
 ECOC2016における光ネットワーク(NW)分野に関する技術動向を報告 する。近年同様、5G/データセンタNWの普及に伴う爆発的なトラフィッ ク増大に対応するために光NW全体で必要となる技術(エラスティック 光NWにおける波長資源活用技術、NW状況把握技術、空間光多重(SDM) 活用技術、セキュリティ考慮技術等)に関する報告が多数あり活況を呈 した。また、NWオーケストレーション技術についても複数報告があった が、議論はその実現技術自体よりも、この技術を前述の「光NW全体で 必要となる技術」とどう組合せて活かすか、にシフトしているように感 じた。
(2016年 10月 12日掲載)
(H28-No.26)情報処理フォトニクス
光インターコネクト
ECOC2016ショート速報
池田 和浩(産業技術総合研究所)
会議名 :42nd European Conference and Exhibition on Optical Communication
開催期間 :2016年9月18日〜9月22日
開催場所 :Congress Center Dusseldorf(Dusseldorf、ドイツ)

-要 約-
 光インターコネクト、特にシリコンフォトニクスを中心としたデバイス 技術を中心に情報収集を行った。インテルから100Gトランシーバの量産 出荷開始が発表され、シリコンフォトニクスの立ち上がりの流れが見え る一方で、更なる高速化に向けては新しい技術が求められており、EAM、 III-V、EOポリマーなどとのハイブリッド化が主要な議論であった。 データセンタの大容量化・省電力化やSDNに向けて、光スイッチの技術 開発も進んでおり、システムの変革があるか注目される。
(2016年10月14日掲載)
(H28-No.27)光情報通信
基幹伝送
ECOC2016ショート速報
小山 智史(富士通研究所)
会議名 :42nd European Conference and Exhibition on Optical Communication
開催期間 :2016年9月18日〜9月22日
開催場所 :Congress Center Dusseldorf(Dusseldorf、ドイツ)

-要 約-
 ECOC2016での主に基幹伝送向けの光伝送技術に関する動向を報告する。 今回のECOCでも400G/1T伝送に向けたデジタルコヒーレント技術を軸 とする伝送技術が数多く報告された。大容量伝送を支える技術として、 ファイバ非線形補償やデバイス不完全補償を中心としたデジタル信号処 理技術、シャノン限界に迫る符号化変調技術、空間多重技術などを中心 として活発な議論が交わされた。
(2016年10月14日掲載)
(H28-No.28)光情報通信
光ファイバ
ECOC2016ショート速報
杉崎 隆一(古河電気工業)
会議名 :42nd European Conference and Exhibition on Optical Communication
開催期間 :2016年9月18日〜9月22日
開催場所 :Congress Center Dusseldorf(Dusseldorf、ドイツ)

-要 約-
 ECOC2016にて報告された光ファイバ関連のトピックスを報告する。トレ ンドとしては依然として空間多重関連の報告が多く、マルチコアファイバ、 フューモードファイバに関する報告がメインとなっている。さらに空間多 重に関するワークショップも行われており、近年と同様の方向性である。 その他、増幅用ファイバ、高非線形ファイバや微細構造ファイバなどの最 新状況が報告されている。
(2016年10月14日掲載)
(H28-No.29)光無機材料・デバイス
光デバイス
ECOC2016ショート速報
藤方 潤一(光電子融合基盤技術研究所)
会議名 :42nd European Conference and Exhibition on Optical Communication
開催期間 :2016年9月18日〜9月22日
開催場所 :Congress Center Dusseldorf(Dusseldorf、ドイツ)

-要 約-
 2016年9月に開催されたECOC2016の光デバイス・材料、主にシリコン フォトニクス(SiPh)に関連する発表について報告する。化合物半導体 とSi基板との貼合せによるレーザ集積技術や、SiPhにおける波長多重 技術は着実に進展してきており、Si上化合物半導体レーザの直接変調を 実証した内容もいくつか報告された。一方、光インターコネクト向け面 発光レーザの開発やコヒーレント通信向けInP系光変調器に関しては、 引き続き完成度の高い開発が行われており、実用化を念頭においた検討 が着実に進んでいることが印象的であった。
(2016年10月18日掲載)
(H28-No.30)光無機材料・デバイス
半導体レーザ
ISLC2016ショート速報
進藤 隆彦(NTT)
会議名 :The 25th International Semiconductor Laser Conference
開催期間 :2016年9月12日〜9月15日
開催場所 :神戸メリケンパークオリエンタルホテル(神戸、日本)

-要 約-
 ISLCは半導体レーザを扱う国際会議であり、今回の会議は9月12日から 15日にかけて神戸で開催された。本会議では通信用、非通信用にまたが る半導体レーザに関する発表が全体で116件行われた。その中から筆者が 聴講した講演において講演内容の速報およびそこで感じた筆者の見解につ いて報告する。特にSi上III-V族半導体光源に関する発表が多く行われ、 その中でもSi上にIII-V族の量子ドット活性層を直接成長させたデバイ スが注目を集めていた。また、WDM用途としての多波長VCSELアレイや光 子間共鳴を用いた高速変調レーザ、非通信用途での近赤外域における波長 可変レーザ等において進展が見られた。
(2016年10月20日掲載)
(H28-No.31)光加工・計測
イメージング関連
NFO-14ショート速報
居波 渉(静岡大学)
会議名 :The 14th International Conference on Near-Field Optics, Nanophotonics, and Related Techniques
開催期間 :2016年9月4日〜9月8日
開催場所 :アクトシティー浜松(浜松、日本)

-要 約-
 NFO-14(2016年9月4日−8日、アクトシティー浜松)における、近接場 イメージングに関する技術の動向を報告する。本学会は、2年に一度開催 され、近接場に関する学会の中で最も大きいものであり、第一線で活躍す る研究者が一堂に会する。
(2016年10月20日掲載)
(H28-No.32)光無機材料・デバイス
GaN系可視・紫外光源
IWN2016ショート速報
王 学論(産業技術総合研究所)
会議名 :International Workshop on Nitride Semiconductors 2016
開催期間 :2016年10月2日〜10月7日
開催場所 :Hilton Orlando Lake Buena Vista(Orlando、Florida、米国)

-要 約-
 窒化物半導体国際ワークショップは、窒化物半導体関連の最大規模の国 際会議の一つであり、今回は米国フロリダ州オーランド市にて開催され た。会議では、六つのパラレルセッションに分かれて、結晶成長(バル ク、薄膜)から、光デバイス、電子デバイス、材料評価、新規材料・デ バイスまで窒化物半導体のほぼすべての研究分野について活発な議論が 行われた。会議の参加を通して、深紫外発光デバイス、可視LED・端面 レーザの効率向上が着実に進んでいると同時に、面発光レーザや量子カ スケードレーザなどの新しい窒化物光デバイスの実現も可能になりつつ ある印象を受けた。
(2016年10月31日掲載)
(H28-No.33)光エネルギー
レーザ加工
ICALEO2016ショート速報
鷲尾 邦彦(パラダイムレーザーリサーチ)
会議名 :35th International Congress on Applications of Lasers & Electro-Optics
開催期間 :2016年10月16日〜10月20日
開催場所 :Sheraton San Diego(San Diego、CA、米国)

-要 約-
 ICALEOは、LIA(米国レーザ協会)の主催により年1回開催されるレーザ 加工分野で世界最大級の国際会議である。ドイツからの講演件数が80件 と全体の37 %以上を占め、ドイツのシェアは、昨年に比べて12%も増加し、 ダン突である。マクロ加工会議では、自動車など輸送機器の軽量化を目的 としたレーザ加工応用に関するドイツ・国家プロジェクトの中間成果報告 に関する特別セッションが開催され、LZH、Fraunhofer研究所、及び RWTH Aachen大学の3つの公的研究機関から合計7件の報告がなされた。 ナノ加工会議では、蓄電池などエネルギーデバイス関連で12件の講演が あったが、国別ではドイツ6件、米国3件、中国2件、イスラエル1件で あり、この分野での日本からの発表が0件であったことが気になった。
(2016年11月4日掲載)
(H28-No.34)光無機材料・デバイス
テラヘルツ
IRMMW-THz2016ショート速報
諸橋 功(情報通信研究機構)
会議名 :The 41th International Conference on Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves
開催期間 :2016年9月26日〜9月30日
開催場所 :Bella Center(Copenhagen、デンマーク)

-要 約-
 ミリ波・赤外・テラヘルツ領域の国際会議であるIRMMW-THz 2016に参加 し、最新技術を調査した。今回は例年より多い700件以上の講演があり、 参加者も800名を超えていた。この会議はテラヘルツ領域全般をカバー しており、光源や検出器などのデバイス開発、分光やイメージングなど の各種応用など多岐に渡る講演がなされた。その中でも、テラヘルツの 応用技術関係やデバイス関係のセッションの中で筆者が気になった講演 について報告する。
(2016年11月15日掲載)
(H28-No.35)光エネルギー
化合物薄膜太陽電池
PVSEC-26ショート速報
山田 明(東京工業大学)
会議名 :The 26th Photovoltaic Science and Engineering Conference
開催期間 :2016年10月24日〜10月28日
開催場所 :Marina Bay Sands - Sands Expo and Convention Centre(シンガポール)

-要 約-
 第26回のPVSECが、シンガポールにて開催された。発表件数は720件、 参加者は約800名であった。会議は、新規材料系、結晶Si系太陽電池、 薄膜太陽電池、モジュール技術、太陽光発電システムの5分野に分かれ て議論された。Cu(InGa)Se2(CIGS)太陽電池では自社測定ながらCdフ リー・バッファ層を用いて22.8%、Cu2ZnSn(S,Se)4(CZTSSe)太陽電池 では韓国の国内会議報告として13.7%の世界最高効率が報告された。 その他、CIGS太陽電池においてCu-poor層形成技術、CZTSSe太陽電池 においてGe添加などの高効率化技術が報告された。
(2016年12月2日掲載)
(H28-No.36)情報処理フォトニクス
相変化材料・デバイス
PCOS2016ショート速報
桑原 正史(産業技術総合研究所)、山田 昇(京都大学)
会議名 :The 28th Symposium on Phase Change Oriented Science
開催期間 :2016年11月24日〜11月25日
開催場所 :KKRホテル熱海(熱海、日本)

-要 約-
 PCOS(Phase Change Oriented Science)は、フェムト秒〜ナノ秒のレー ザパルスや電流パルスにより生じる「物質の可逆的相変化(構造変化)」 を主な対象とし、メモリーならびにスイッチデバイス、新しい相変化材 料の提案、相変化材料の構造解析、高速相変化メカニズム等、基礎から 応用まで広いテーマでの発表、討議が行われる。内容は多岐に渡り、不 揮発性固体メモリーの耐久性向上を目指した新規相変化材料、赤外プラ ズモン応用、光と相変化材料を用いたニューロネットワークの基礎技術、 熱制御を可能としたフォノニック結晶、熱電変換材料としての相変化材 料等が注目を集めた。
(2016年12月5日掲載)
(H28-No.37)光有機材料・デバイス
ナノインプリント技術
MNC2016ショート速報
宮内 昭浩(日立製作所)
会議名 :29th International Microprocesses and Nanotechnology Conference
開催期間 :2016年11月8日〜11月11日
開催場所 :ANAクラウン京都(京都、日本)

-要 約-
 MNC2016はナノテク関連の国際会議で米EIPBN、欧MNEと並び、アジア 地区を中心に29回目を迎えた日本応用物理学会主催の国際会議である。 本年度の参加者は520名を超え、投稿数は339件であった。日本の他、 韓国、台湾、中国、イギリス、米国、タイ、ドイツ、フランス等から 関係者が集まった。対象分野は、ナノカーボン、有機ナノ材料、ナノ 加工、ナノツール、応用デバイスなど、材料、プロセス、装置、デバ イスと多岐に亘る。ナノインプリントのセクションでは、LSIリソと 有機ELへの応用に関して招待講演が組まれた。フレキシブルエレク トロニクス向けに透明配線やインクジェットプロセスによるシリコン 形成が報告され、次世代リソへの着実な進展も報告された。
(2016年12月20日掲載)
(H28-No.38)光ユーザインタフェース
OLED関連
IDW'16ショート速報
中 茂樹(富山大学)
会議名 :23rd International Display Workshops in conjunction with Asia Display 2016
開催期間 :2016年12月7日〜12月9日
開催場所 :福岡国際会議場(福岡、日本)

-要 約-
 IDWにおいて、OLEDワークショップは2001年のトピカルセッションから 始まり、今年で16回目である。今年はオーラルセッションとしてディス プレイ技術、照明応用、デバイス技術、材料の分野でセッション構成さ れ、特に材料に関する招待講演が多数組み込まれた。これらの内容を中 心について報告する。
(2016年12月22日掲載)
(H28-No.39)光ユーザインタフェース
LCD関連
IDW'16ショート速報
岡 真一郎(ジャパンディスプレイ)
会議名 :23rd International Display Workshops in conjunction with Asia Display 2016
開催期間 :2016年12月7日〜12月9日
開催場所 :福岡国際会議場(福岡、日本)

-要 約-
 本年のIDWのLCD関係ではフレキシブルLCD、高精細化技術、VRや車載 などの特定用ディスプレイ技術開発などの報告が盛況であった。特にフ レキシブルディスプレイ関係は有機ELが最も注目はされているが、LCD でも可能性があることを示唆する報告が目立っていた。いずれの分野に おいてもLCDの技術開発はまだまだ進んでいくことが期待される内容が 多数あり、とても充実した会議となった。
(2017年1月24日掲載)
(H28-No.40)光有機材料・デバイス
有機デバイス
2016MRS-Fショート速報
吉田 郵司(産業技術総合研究所)
会議名 :2016 Material Research Society Fall Meeting & Exhibit
開催期間 :2016年11月27日〜12月2日
開催場所 :Hynes Convention Center(ボストン、米国)

-要 約-
 2016 MRS Fall Meetingが、ボストンで開催された。イノベーションや 人材獲得の場として、世界中から研究者が集まっており、年々イベント が派手になっている感があった。今回は有機デバイス材料系のシンポジ ウムの内、ストレッチャブルエレクトロニクス、高分子電池、有機半導 体関連、ペロブスカイト太陽電池に関して調査した。導電性材料を用い た伸縮可能な電極による生体センサの医療応用が数多く報告されていた。 また有機半導体では有機熱電変換材料の発表件数が多く、F4-TCNQのドー ピングによる性能制御等も報告されていた。ペロブスカイト太陽電池で は、特にシリコンとのタンデムの他、ダブルタンデムでの高効率化を狙っ た研究も報告されていた。
(2017年2月10日掲載)
(H28-No.41)光加工・計測
医用生体光学
PW2017 BiOSショート速報
有本 英伸(産業技術総合研究所)
会議名 :SPIE Photonics West 2017 BiOS
開催期間 :2017年1月28日〜2月2日
開催場所 :The Moscone Center(San Francisco、CA、米国)

-要 約-
 米国サンフランシスコにて開催されたSPIE Photonics West 2017のうち、 医用生体光学をテーマとするBiOS 2017に参加したので所感とともに概要 を報告する。技術要素として光音響イメージング、定量位相イメージング、 おびよ3次元顕微イメージングなどをはじめとした計測技術が発表件数、 聴講者数ともに盛況であり、近年の流れを踏襲した風潮であった。ただし、 個々の技術を洗練させ性能向上を図るだけではなく、特定の疾病や物質の 検出能を向上させたりといった目的指向がいっそう強まり、それも一因と して複数の要素技術を効果的に組み合わせたハイブリッド型やマルチモー ダル型の計測技術が目を引いた。
(2017年2月14日掲載)
(H28-No.42)光加工・計測
高出力半導体レーザ
PW2017 LASEショート速報
河ア 正人(三菱電機)
会議名 :SPIE Photonics West 2017 LASE
開催期間 :2017年1月28日〜2月2日
開催場所 :The Moscone Center(San Francisco、CA、米国)

-要 約-
 Photonics Westは、国際光工学会(SPIE)の主催により毎年開催される、 米国を中心に欧州やアジアなど世界の光関連研究者が一同に集う世界最大 規模の国際会議である。光工学全般に関して、産業、通信、医療など様々 な応用に関する最新の研究成果が発表され、また1000を超える企業が集う 展示会も併催される。基礎研究から実用化技術まで、非常に幅広い研究・ 開発に関する内容が含まれており、特定の目的がある場合に限らず、新し い技術や研究テーマを探す場としても有益であると感じた。本報告では、 レーザ関連の国際会議であるLASE 2017の講演から、高出力半導体レーザ に関する技術にフォーカスして報告する。
(2017年2月16掲載)
(H28-No.43)光有機材料・デバイス
有機無機ハイブリッドデバイス
PW2017 OPTOショート速報
大友 明(情報通信研究機構)
会議名 :SPIE Photonics West 2017 OPTO
開催期間 :2017年1月28日〜2月2日
開催場所 :The Moscone Center(San Francisco、CA、米国)

-要 約-
 米国サンフランシスコでPhotonics West 2017が開催された。今回の会 議では、光インターコネクトに関わるシリコンフォトニクスや集積デバ イス、有機無機ハイブリッドデバイスの技術動向に注目した。シリコン フォトニクスによる光デバイスの集積化技術は、光インターコネクトの 高速化に向けて着実に進展を見せていた。このシリコンフォトニクスデ バイスを超える存在として特に注目されたのが、有機EOポリマーとシリ コンフォトニクスとのハイブリッドデバイスである。ハイブリッドデバ イスはデジタル信号レベルで直接駆動できるため、消費電力は1/1000 以下になるということであり今後の進展が期待された。
(2017年2月23掲載)
(H28-No.44)光無機材料・デバイス
光デバイス
PW2017 OPTOショート速報
中村 滋(NEC)
会議名 :SPIE Photonics West 2017 OPTO
開催期間 :2017年1月28日〜2月2日
開催場所 :The Moscone Center(San Francisco、CA、米国)

-要 約-
 Photonics West 2017において、主にOPTOでシリコンフォトニクスに 関連する光デバイス技術に関して聴講した内容を報告する。欧州プロ ジェクトのCOSMICCを主導するCEA-LETI、ICT-STREAMSを主導する Thessaloniki大の積極的な活動が印象に残った。シリコンフォトニクス に関する展示会併設パネルディスカッションは、IMEC、Luxtera、IBM、 Oracle、Intelからの登壇があり多くの注目を集めた。シリコンフォト ニクスの光センシングへの展開に関する議論も活発化しているように 思われた。
(2017年3月8掲載)
(H28-No.45)光有機材料・デバイス
有機材料
IWPPI ショート速報
杉原 興浩(宇都宮大学)
会議名 :International Workshop on Photonics Polymer for Innovation
開催期間 :2016年10月11日〜10月14日
開催場所 :ホテルサンバレー那須(那須、日本)

-要 約-
 2016年10月11〜14日に栃木県那須にて開催されたInternational Workshop on Photonics Polymer for Innovation(IWPPI)における、 有機材料・デバイスを中心とした技術動向について報告する。ここ数 年、パッシブポリマー光導波路を用いた光インターコネクトシステム の開発やマルチモード光ファイバの実用化に向けた進展に加えて、シ リコンフォトニクスに機能性ポリマーを融合させた高性能光デバイス の研究開発が盛んになっており、高い注目を集めていた。
(2017年3月9掲載)
(H28-No.46)光エネルギー
太陽光発電設備信頼性
2017PVRW ショート速報
櫻井 啓一郎(産業技術総合研究所)
会議名 :2017 Photovoltaic Reliability Workshop
開催期間 :2017年2月28日〜3月2日
開催場所 :Lakewood Denver West Sheraton(Lakewood、CO、米国)

-要 約-
 PVRWは米国の国立研究所であるNational Renewable Energy Laboratory (NREL)を中心として開催される、太陽光発電設備の信頼性向上をテーマ としたワークショップである。参加者がそれぞれ何らかの技術やノウハウ を発表・共有することが原則として義務づけられており、IEC規格等を通 じた標準化に関わる議論も多く見られるなど、技術全体の底上げに貢献す る場となっている。本報告ではワークショップにおける講演や議論の中か ら、筆者が関心を持ったものを中心に報告する。
(2017年4月5掲載)
(H28-No.47)光情報通信
光ネットワーク
OFC2017 ショート速報
橋口 知弘(富士通研究所)
会議名 :The Optical Fiber Communication Conference and Exhibition
開催期間 :2017年3月19日〜3月23日
開催場所 :Los Angeles Convention Center(Los Angeles, CA, 米国)

-要 約-
 OFC2017(2017年3月19日−23日、米国・ロサンゼルス)における光 ネットワーク分野に関する技術動向を報告する。機械学習を活用した分 析・学習技術に関するワークショップや一般講演セッションが企画され るなど注目度が高かった。また、SDN(Software-Defined Networking) 技術、エラスティック光技術に基づいた大容量ネットワークを前提とし、 5Gで検討されているようなネットワークスライスの提供技術や性能・ 障害監視とその対応の自動化に関する課題提議や研究発表が目立った。
(2017年4月6掲載)
(H28-No.48)情報処理フォトニクス
光ネットワーク
OFC2017 ショート速報
木下 遼太(住友ベークライト)
会議名 :The Optical Fiber Communication Conference and Exhibition
開催期間 :2017年3月19日〜3月23日
開催場所 :Los Angeles Convention Center(Los Angeles, CA, 米国)

-要 約-
 テクニカルセッションでは高速伝送に向けた各種多重化技術や次世代通 信技術であるシリコンフォトニクスに関する報告が数多く見られた。 一方、展示会場では各社から100 Gbps規格のSFF(スモールフォーム ファクタ)を中心として、200 Gbps/400 Gbpsのさらなる広帯域規格の トランシーバに注目が集まっていた。来場者であふれかえった今年の OFC会場の雰囲気を肌で感じることで、光通信業界が今後より一層盛り 上がっていく印象を受けた。
(2017年4月7掲載)
(H28-No.49)光情報通信
光アクセス
OFC2017 ショート速報
藤原 正満(NTT)
会議名 :The Optical Fiber Communication Conference and Exhibition
開催期間 :2017年3月19日〜3月23日
開催場所 :Los Angeles Convention Center(Los Angeles, CA, 米国)

-要 約-
 光通信関連技術に関する世界最大の国際会議OFC2017において報告された 光アクセス分野の最新技術トピックスを紹介する。本会議では、第5世代 移動通信システムにおける通信トラヒックを効率的・経済的に収容するた めのモバイルフロントホウル技術、および1波長当り25 Gb/s以上の Passive Optical Network(PON)向け光伝送技術に注目が集まった。また、 コヒーレントPONやOrthogonal Frequency Division Multiplexed(OFDM) - PON等、将来の光アクセス実現に向けた検討も着実に進められている。
(2017年4月7掲載)
(H28-No.50)光情報通信
光ファイバ
OFC2017 ショート速報
林 哲也(住友電工)
会議名 :The Optical Fiber Communication Conference and Exhibition
開催期間 :2017年3月19日〜3月23日
開催場所 :Los Angeles Convention Center(Los Angeles, CA, 米国)

-要 約-
 OFC2017における光ファイバ関連の注目トピックスを紹介する。将来的な キャパシティ・クランチへの対応の為に空間分割多重関連の研究が引き 続き活発に報告されており、非結合型/結合型マルチコア光ファイバの双 方において、コア密度の記録を更新する報告がなされた一方、非空間分割 多重の低損失・大Aeff光ファイバにおいても低伝送損失の記録を更新す る報告がなされるなど着実な進展が報告された。またテーパーでファイバ 径を変えてもMFDが変化しない屈折率分布のファイバも新たに提案された。
(2017年4月12掲載)
(H28-No.51)光情報通信
基幹伝送
OFC2017 ショート速報
竹下 仁士(NEC)
会議名 :The Optical Fiber Communication Conference and Exhibition
開催期間 :2017年3月19日〜3月23日
開催場所 :Los Angeles Convention Center(Los Angeles, CA, 米国)

-要 約-
 2017年3月19〜23日に、米国ロスアンゼルスにてOFC2017が開催された。 OFC2017にて発表・議論された光基幹伝送分野の研究開発成果から、特徴 的な研究動向を中心にまとめる。堅調に伝送容量拡大の動きが続く一方で、 伝送システムのOpen化の動きが顕在化するなど、新たな潮流を感じさせる 報告があり、今後の動向が注目される。
(2017年4月14掲載)
(H28-No.52)光無機材料・デバイス
光デバイス・モジュール
OFC2017 ショート速報
青木 剛(富士通研究所)
会議名 :The Optical Fiber Communication Conference and Exhibition
開催期間 :2017年3月19日〜3月23日
開催場所 :Los Angeles Convention Center(Los Angeles, CA, 米国)

-要 約-
 OFC2017における通信用光デバイス・モジュール関連のトピックスについ て報告する。高集積、低コストを実現するシリコンフォトニクスへの期待 は依然として高く、データコムはもとより通信にも適用した多くの研究報 告がなされており、その適用領域はますます広がっている。シリコンを中 心とした光デバイス単体の高性能化や高集積化だけではなく、制御技術の 開発も進んでおり、さらにデバイスの高集積モジュール化技術や高精度光 ファイバ実装技術も着実に進歩してる印象を受けた。


Copyright(C) OITDA All Rights Reserved.