(2003年2月7日更新)
![]() 櫻井賞受賞者記念写真
(前列左から) 柳谷 高公 (受賞者:神島化学工業株式会社) 植田 憲一 (受賞者:電気通信大学) 灘本 正博 (光産業技術振興協会 専務理事) 田中 昭二 (櫻井健二郎氏記念賞委員会 委員長) 内田 禎二 (櫻井健二郎氏記念賞委員会 主査) 野田 進 (受賞者:京都大学) 第18回(2002年度)櫻井健二郎氏記念賞は、京都大学の野田進氏および電気通信大学 植田憲一氏、神島化学工業株式会社 柳谷高公氏のグループに授与された。 櫻井健二郎氏記念賞は、当協会の理事であった故櫻井健二郎氏が光産業の振興に果たされた功績を讃えると共に、光産業および技術の振興と啓発を図ることを目的として創設されたもので、過去17回の表彰で15名、17グループ、延べ66名が受賞している。 今年度の櫻井賞は、光産業および光技術の分野において先覚的役割を果たした1997年以降の業績を対象に、応募10件の中から厳正に選考された。 受賞の栄に輝いた野田氏の受賞理由は『ナノ周期構造に加工した半導体ウエハを融着積層する新規な方法で光波長帯で動作可能な完全3次元フォトニックバンド結晶を実現するとともに、欠陥の導入による光制御などの解明を行った。また、通電可能な特長を生かして、2次元フォトニック結晶によるマイクロディスク半導体レーザをはじめ、超小型の各種の光デバイスを研究開発した。本業績は、今後の高機能光デバイス製造の可能性を示し、サイエンスと光エレクトロニクスの接点としても注目できるもので、将来の光IT産業の発展に大きく貢献することが期待される。』というものである。 一方の植田氏、柳谷氏の受賞理由は『ナノ微結晶を無圧焼結する方法により、従来、不可能であった多結晶粒界での散乱要素を自己消滅させて、光透過性の優れたセラミックの新規な製造技術を確立した。本方法により、セラミックYAGロッドで単結晶ロッドを上回る高出力レーザ発振を実現した。本業績は、単結晶固体レ−ザでは限界がある大型化と制御性の限界を打ち破って大出力化を可能とするもので、固体レ−ザの将来を塗り替えた。今後、高出力、産業用レーザ分野での貢献が期待される。』というものである。 3氏に対する表彰は、昨年12月5日に開催された第22回光産業技術シンポジウムの席上行われた。櫻井健二郎氏記念賞委員会委員長田中昭二氏(超電導工学研究所長)から経過報告の後、同委員長より賞状、メダル、賞金が受賞者それぞれに手渡され、ついで受賞者を代表して野田教授および植田教授よりそれぞれ謝辞が述べられて表彰式を終了した。 なお、受賞者各位の略歴は以下の通りである。
1984年 京都大学大学院電気工学専攻修士課程修了。同年 三菱電機株式会社入社。1988年 京都大学工学部助手、1992年 京都大学工学部助教授、2000年 京都大学工学研究科教授。工学博士。 植田憲一氏 1971年 大阪大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了。同年 日本電子株式会社入社。1976年 上智大学物理学科助手、1981年 電気通信大学新型レーザー研究センター助教授、1990年 同大学レーザー極限技術研究センター教授、1996年 同センター長、1999年 同大学レーザー新世代研究センター・センター長。 理学博士 柳谷高公氏 1985年 山口大学理学専攻科修士課程修了。同年 神島化学工業株式会社入社。現在 同社セラミックス部課長。 工学博士。 |