光産業技術マンスリーセミナー
(2005年12月26日更新)

*** 2005プログラム紹介 ***

No.

開催日
講演テーマ / 講師
No.260

1/18
(火)

「スケーラブル・セラミックレーザーとそれから生まれた新発想」

電気通信大学
植田 憲一  氏
(内容)
固体レーザーに革命をもたらした大型結晶作成法であるセラミックレーザー技術の現状とそれから生まれた新しい発想、将来への発展を紹介する。従来の酸化物粉末焼結とは異なり、化学合成ナノ粒子を原材料としたセラミック技術は、均一ナノ粒子を原材料とした自己エネルギー型の焼結であるために、もっともシンプルな鋳込み法で完全透明セラミックを作り出すことができる。このため、1mサイズの大型レーザー材料のセラミックレーザーが作成することが可能である。単結晶YAGに比べて、多結晶体であるセラミックYAGは、完全に同等の分光学的性質、熱的性質を持つことが確かめられた。熱パルス法で測定したグレイン境界層の厚みは、1-2オングストロームと極薄で、フォトン、フォノン散乱に影響がなく、散乱や熱伝導に影響が出ない。機械強度から単結晶に比べて3倍以上の熱衝撃パラメータが判明した。セラミックYAGは高平均出力の産業応用レーザーのみならず、大出力パルスエネルギーが要求される実用炉用のレーザー材料として最も優れている。高い熱伝導と高密度励起が可能なセラミックYAGでは、Yb:YAGセラミックがレーザー材料となりうる。しかし、Yb:YAGの誘導放出断面積は若干小さく、光学薄膜の損傷強度からすると、数倍大きな断面積が望ましい。一般には、誘導放出断面積は物質固有の定数であるが、均一広がりスペクトルを持つ結晶レーザーでは、冷却することで、誘導放出断面積は大きくなる。そのこと自身は誰もが知っていることであるが、核融合用レーザーを冷却しようという提案は誰からもされたことがない。熱衝撃パラメータが材料によって調整できる量であることを知って、誘導放出断面積も温度同調させることが適当だと考えを変えた。それ以外に、大口径核融合用レーザー増幅器を考案することが困難であることと、将来の最大課題である低コスト化のためには、LDコストの大幅な削減が絶対的要請だからである。不透明と信じられていたセラミックから完全透明セラミックを実現したのであるから、低温駆動核融合用セラミックレーザー程度のアイデアは、それほど、非常識ではない。一見、無理に見えることが実現していくのが研究であるので、セラミックレーザーの開発を契機に、新しい固体レーザーの発展を展望したい。
No.261

2/15
(火)

「分子メモリ:ヒューマン・ブレイン形メモリの夜明け」

大阪教育大学
辻岡 強 氏
(内容)
近年のIT革命の進展に伴い、情報処理デバイス、特に情報記憶デバイスの記録容量の飛躍的向上が強 く求められている。しかし、磁気記録技術、光記録技術、半導体記録技術のすべての分野で技術限界 が目前に迫っており、根本的な記録技術のブレイクスルーが望まれている。最近このような限界を打 ち破るため、有機分子を用いる分子エレクトロニクスの分野で分子1個に1ビットの情報を記憶する 分子メモリの概念が提案されている。本講演では、従来の記憶技術の高密度化技術の変遷から、その 限界、そして分子メモリへの可能性とその新しいメモリ原理に基づく脳型メモリへの展望について概 説する。
No.262

3/15
(火)

「酸化物半導体を用いた太陽光エネルギー変換技術ー光触媒水素製造と色素 増感太陽電池の現状ー」

東京理科大学 工学部工業化学科
荒川裕則 氏
(内容)
地球温暖化問題の解決には、再生可能エネルギーの大幅な導入が必須となっている。 太陽光エネルギーは最も期待される再生可能エネルギー源であるが、十分に利用され ているとは言いがたい。安価で高性能な新しい太陽光エネルギー利用技術の開発が期 待されている。本講演では、酸化物半導体を用いた水から直接水素を製造できる光触 媒プロセスの研究開発と、可視光を大幅に利用できる色素と酸化物半導体を利用し た、光合成模倣型の新規太陽電池の研究開発の状況について紹介する。
No.263

4/19
(火)
***満員御礼・受付終了***
「光配線・光実装技術の最新動向」
〜装置内実装において光は電気の壁を越えられるか〜
技術研究組合 超先端電子技術開発機構(ASET)
茨木 修 氏
(内容)
 装置内の信号伝送について1Gbpsを超えると光の時代が来るといわれて久しいが、 未だに光実装が本格的に実用化されていないのが現状である。電気伝送の高速化 技術開発と光伝送コストが高いことが主因である。しかしながら電気伝送の工夫 もそろそろ限界にきており、いよいよ装置内に光伝送が使われる日も遠くない。 このような状況下において、ASET及び光・電子連携研究体などで開発されている 高分子光導波路、ファイバボード、ボード用光コネクタ、光バックプレーン等の 光配線・光実装技術について紹介する。また、光実装を適用する上での研究開発 の課題及び国内外での技術開発動向について概説する。
No.264

5/17
(火)
***満員御礼・受付終了***
「酸化物エレクトロニクスと高効率発光デバイス」
東北大学 金属材料研究所 超構造薄膜化学研究部門
教授 川崎 雅司  氏
(内容)
 従来の半導体や金属では実現できない電子機能を具現化する夢の材料として金属酸化 物がクローズアップされている。大きく分けて、「強相関電子酸化物」と「酸化物半 導体」に大別される物質とその機能を概観し、後者について電子機能・磁気機能・光 機能を説明する。その中でも、p型酸化亜鉛と青色発光ダイオードの初合成について 詳しく説明する。これらの物質開発・ヘテロ接合形成・デバイス最適化などの時間と 労力のかかる研究活動を効率化する「コンビナトリアルテクノロジー」についても紹 介する。
No.265

6/21
(火)
***満員御礼・受付終了***
「有機ELデバイスのディスプレイ化と照明機器への展開」
NHK放送技術研究所 材料基盤技術 主任研究員
時任 静士 氏
(内容)
 本講演では、まず、有機ELデバイスの基本的なデバイス構造と発光のメカニズム をできるだけ分かり易く述べる。次に、世の中のディスプレイ開発の動向をディスプレイ 構造と試作プロセスを含めて紹介し、また、発光効率や寿命を支配する有機材料の 開発についても最新の研究報告を含めて紹介する。最後に、NHK技研での研究の 取り組みとしてフレキシブルディスプレイと照明機器への応用展開を紹介します。
No.266

7/26
(火)
***満員御礼・受付終了***
「FTTHの最新動向:ギガクラスFTTHとその技術・導入動向」
日本電信電話株式会社
アクセスサービスシステム研究所
第1推進プロジェクトIPアクセス推進DP
主幹研究員 藤本幸洋  氏
(内容)
 ブロードバンドアクセスユーザが2000万に近づいてきた現在、 主力となるアクセスシステムは、ADSLからギガビットクラスのFTTHへ と大きく移っている。中でも、経済性に優れたイーサネット技術を 用いたFTTHシステムが主要な通信事業者に採用されている。本セミナー では、IEEE802.3ahで標準化された光ポイント−ポイント、および、 ギガビットEPONの概要を規格決定の舞台裏、標準化仕様で不足する 技術を含めて紹介する。
また、ITU-Tで議論されているG.984シリーズGPONの概要についても 紹介し、欧米主要キャリアの動向と日本市場の違いについても触れる。
No.267

8/23
(火)

「高速電力線通信(PLC)の最新動向」
関西電力株式会社
経営改革・IT本部情報通信技術グループチーフマネジャー
橘 俊郎 氏
(内容)
  高速電力線通信は、現時点では電波法の規制により実用化されていないが、 e-Japan戦略の中で、サービス提供基盤整備費用低減、使いやすいシステム の実現、家庭内における高度なIT 活用・普及等に極めて効果が大きいので、 実用上の問題がないことが確保されたものについて活用を推進すると提言さ れた。このような状況において、今年1月に総務省「高速電力線搬送通信に 関する研究会」が発足し、既存無線局との共存に向けてさまざまな議論が行 われている。
 本講演では、高速電力線通信の概要、高速電力線通信技術の最新技術、今 後の展望などについて紹介する。
No.268

9/20
(火)
***満員御礼・受付終了***
「LEDのディスプレイ以外への新用途開拓
T.LEDを光源兼受光素子とした光通信および光センシング
U.医学、農学、水産学分野における高輝度LEDの新利用」

香川大学大学院 工学研究科
信頼性情報システム工学専攻
教授 岡本研正  氏
(内容)
 1993年、日亜化学は青色の高輝度LEDを世界で初めて開発した。
同社はその後も青緑色や緑色の高輝度LED、さらには光エレクトロニクスに おける長年の夢であった白色LEDまでも次々と開発した。これにより太陽光 下でも色彩鮮やかなフルカラーディスプレイが実現した。今日、こうした LEDディスプレイは競技場や野球場などの大型施設のみならず、街中のいた るところで目にするようになった。一方、電球式信号機は次第にLED信号機 に置き換えられていき、白色LEDは蛍光灯に替わる照明灯として注目を浴び ている。講演者の岡本教授は、1989年に高輝度LEDの顕著な受光効果つまり 高輝度LEDのフォトダイオードとしての性能に着目し、LEDを光源兼受光素子 として利用した双方向光通信システムや光センシング方式の開発研究を行っ てきた。また、同教授は、青と赤の混合LED光源を用いたLED植物栽培に世界 で初めて成功(1994年)したり白血病細胞をLED光で破壊する(1996年)する など、学際領域における斬新な試みや数々の発見を行ってきた。さらに2000 年からは、水産業におけるCO2排出の大幅削減を目的とした、青色LEDを用い たイカ釣り漁船用大型集魚灯の開発と実用化研究も行っている。本講演では こうしたLEDのディスプレイ以外への様々な応用について紹介する。
No.269

10/18
(火)

「センサネットワークと新しい光技術」
東京大学大学院
情報理工学系研究科システム情報学専攻
教授 安藤 繁 氏
(内容)
 センサネットワークは,センサと計算機と通信機能を結合 し自律的なユニットを数多く自由に配置し,それらの間の 協調動作により環境全体の情報を把握し活用しようとする 新しい分散型システムの形態である。この中で,光は,セ ンシングのために,自身の位置の把握のために,通信のた めにと,多くの役割が期待され研究が行われている。
今回 の講演では,センサネットワークの概要とポイント,その 中で表れてきている新しい光技術や光デバイスについて, 講演者らの開発事例を含む具体例に基づいて解説する。
No.270

11/15
(火)

「光情報通信ネットワークの課題と将来」
独立行政法人 情報通信研究機構 
情報通信部門 
部門長 松島裕一 氏
(内容)
 情報通信技術の近年の急速な進展はインターネットに代表されるように、 現在では我々にとって身近で重要な社会インフラにまで成長してきた。光情報通信 ネットワークは将来にわたりこのインフラを支える基盤技術である。一方で、バック ボーン回線容量の確保、スイッチなどノード部分でのスループットの確保、広域・大 容量回線の安定で信頼性の高い運用、さらには通信用電力の確保など、様々な課題 も顕著になりつつある。解決のキーワードは、徹底した効率化であり、そのためには伝送 速度の更なる高速化や、粒度の細かな光スイッチング技術が必要と考えられる。
No.271

12/20
(火)

「フェムト秒レーザー加工の特徴とその応用」

(財)レーザー技術総合研究所
主任研究員 藤田雅之 氏
(内容)
 フェムト秒レーザー加工の特徴のひとつとして、加工部周辺の熱影響層がきわめて 小さいということが注目されてきた。従来のレーザー加工にはない新しい微細加工現 象として産業応用への期待が高まっていたのである。我々は、金属、セラミックス、 半導体のフェムト秒加工データを蓄積してきたが、詳細な解析の結果、加工閾値以下 のフルーエンスで照射された加工クレーター周辺においても、興味深い相互作用現象 が起きていることが分かってきた。これまでに得られた加工データと共に、低い照射 強度で試料表面に機能を持たせることができる加工事例を紹介する。あわせて、昨年 度光協会で行ったフェムト秒加工のフィージビリティスタディの調査結果を報告する。

OITDA